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■平和安全法制(安保法制)が施行されたから自衛官のリスクが増える?!

久っっっっっっっしぶりに平和安全法制ネタです。
ご無沙汰しております。

なんでしばらく平和安全法制ネタをやらなかったかというと、カープが忙しかったから……というのもなくはないんですが(というより大いにありますが)、単純に「飽きてたから」です。

えー、すみません。
あ、あと、予備自衛官の招集訓練にも出頭してて、そっちの絡みでも忙しくて……すみません。

まあ、正直……飽き飽きしますよね。
テレビや新聞を見てると、以前は「集団的自衛権ガー!!憲法違反ガー!!」だったのが、そこで支持を得られないのが分かると、今度は「駆け付け警護ガー!!自衛官のリスクガー!!」で。
こんな言い方をするのもアレなんですが、正直「やれやれ……」という気分です。

集団的自衛権を扱う「事態対処法」も別に消えてなくなったワケではないんですけどね。
でも、「もう集団的自衛権はどうでもいいのかな?」というくらいにサッパリ話題に上らなくなり。
かと思ったら「駆け付け警護ガー!!自衛官のリスクガー!!」で……やれやれ。

「自衛官のリスクが増える」。
これ、平和安全法制がらみでいろいろと言われるようになりましたが、正直「なにを今さら」という気持ちでいます。
じゃあ、これまでは自衛官のリスクが低かったとでも?!……と。

特に、これまで「自衛官のリスク」に見向きもせず、どころか自衛官の存在や人格をけちょんけちょんに言ってた人物や媒体、組織が「自衛官のリスクが増える!自衛官が心配!」なんて言ってるのを見ると……もう……ね……。
皆まで申しませんが。

平和安全法制がまだ「安保法案」と呼ばれていたころ、国会では野党議員が安倍首相に
「これで自衛官のリスクが増えますよね?!どうなんですか?!」
と詰め寄る場面が何度かあったように記憶しています。

しかし、安倍首相は「自衛官のリスクが増える」とは決して言われませんでした。
それを「はぐらかしている」と指摘する野党議員の声や報道もありましたが、私は別の思いでいました。

安倍首相が「自衛官のリスクが増えますよね?!」と詰め寄られていたとき、私は
「安倍さん、『自衛官のリスクが増える』なんて絶対に言わないで!!」
という気持ちで国会中継を見ていました。

もしここで、一国の首相であり、自衛隊の最高指揮官である安倍首相が「自衛官のリスクが増える」なんて発言されたら、もう既に高い状態にある「リスク」を否定されるような気がしたからです。
これまでその「リスク」を受け入れながら任務を遂行し、訓練を続け、その過程で亡くなられた自衛官の存在や彼ら、彼女らの思いを否定されるような気がしたからです。

これまで、いろんな任務でたくさんの自衛官が殉職されました。
任務に備えた訓練でも殉職された方はたくさんいらっしゃいます。
一命を取り留めたものの、大きな怪我を負われた方もいらっしゃいます。

でも、自衛官はみなさんそれを「受け入れた」上で任務や訓練を続けていらっしゃいます。
ご自身だけじゃなく、ご家族のみなさまも……本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、これはなにも自衛官だけではありません。
警察、消防、海保……みなさん、さまざまな現場でそれぞれのリスクを負っていらっしゃいます。
公的なお仕事だけでなく、民間企業に勤めておられる方でも、命に関わるリスクと日々向き合いながらお仕事をされてる方は少なくありません。

「リスクガー」と報道している機関の方々も、ご関係者が紛争地域などの危険な現場に取材に行かれていることと思います。
現場の「リスク」は、私なんかより重々ご承知の上で、報道の使命を果たされているのではないでしょうか。

リスクは、事実として存在します。
じゃあ、「リスクがあるからってやらなくていい」んでしょうか。

住宅で火災が置きると、消防隊員の方は救助に向かいます。
訓練を積んでいるとはいえ、そこには必ずリスクがあります。
でも、彼らは救助に向かいます。
助けるべき人がそこにいるからです。

人質を取り、銃を手に立てこもった現場……そこには警察官が向かいます。
訓練を積んだスペシャリストが向かいます。
とはいえ、撃たれるリスクは大いにあります。
でも、彼らは現場に向かいます。
助けるべき人がそこにいるからです。

PKOの現場で、NGOや国連の職員が危険な場面に遭遇したら……。
自衛官は、彼らの命を見捨ててもいいんでしょうか。
同じ日本人が助けを求めているのに、「自衛隊が武器を使用して守るのは自衛官だけ」でいいんでしょうか。

もし、日本国民の総意として「自衛隊がPKOの現場で武器を使うのはよろしくない。NGOや国連の職員の命なんてどうでもいいから、駆け付け警護なんてするな」と言うのであれば、そういう法律にすればいいと思います。
日本国民がそれを望んでいるのであれば。

そして、勘違いをされている方が相当数いらっしゃるようなのですが、平和安全法制が施行されていわゆる「駆け付け警護」の任務が付与される以前から、PKOの現場では「NGOや国連の職員を守るために自衛官が武器を使用することはOK」でした。

では「駆け付け警護」の任務が付与されて、何が変わったかというと、
以前→助けられるのは、危険なことが起きたときに自衛隊の管理下にいた人たちだけだった
今→自衛隊の管理下ではない人たちのところに駆け付けてでも、助けられるようになった
というだけです。
危険なことが起きたとき、NGOや国連の職員が「自衛隊と同じグループとして活動してるか、そうじゃないか」の違いだけなんです。

「駆け付け警護」ができる以前から、武器の使用はOKでした。
もちろん、リスクだって大いにありました。

「自衛官のリスク」と「NGOや国連の職員の身の安全」。
助けを求める人が「自衛隊の管理下にいる」のか「管理下にいない」のか。
みなさんは、どう天秤にかけますか?
そもそも、天秤にかけることなのでしょうか?

以前、あるテレビ番組のインタビューで「新任務付与で自衛官のリスクは増えるか」という質問に対し、
「バッターボックスに入る回数が増えれば、当然デットボールを受ける回数も増えるだろう」
と回答された方がいらっしゃいました。
この方は知人で、「おお、なるほど、分かりやすい!」とそのウマさに思わず「見ましたよ~」とご連絡してしまいました。

でも、打順が回ってくれば、バッターボックスに入らなきゃいけません。
スタメンでも代打でもないのにバッターボックスに入ろうとしたら「お引き取りください」ですが、自分の打順が回って来たのであれば、デットボールのリスクがあってもバッターボックスに入らなきゃいけません。
デッドボールが怖けりゃ、バッターボックスに入るどころか、そもそも野球なんか辞めればいいんです。

問題は「バッターボックスに入る必要があるかどうか」なんです。
「自衛隊が、NGOや国連の職員の身の安全を確保する必要があるかどうか」なんです。
必要がないなら、バッターボックスに入らず、ベンチに座っておきましょう。
必要があるのなら、バッターボックスに入る覚悟を持ちましょう。

覚悟を持たなきゃいけないのは、自衛隊や防衛省、日本政府だけではありません。
国民全員です。
国民の代表として、自衛隊はバッターボックスに入るので。
そして、覚悟を持ったのなら、やみくもにデットボールの怖さを煽り立てるのではなく、どうすればデッドボールを回避できるのか……そこを議論しましょう。

最近の報道では、この「議論」について、とっても疑問に感じることがあります。

「法制が施行されて新任務付与」ということで、自衛隊は新任務のための訓練を始めました。
すると、さも「自衛官のリスクを上げる訓練が始まったぞー!法制が施行されたから自衛官のリスクが上がってるぞー!」的に報道がなされているのを目にします。

でも、訓練は「リスクを下げるためのもの」なんです。
そして、法制も「リスクを下げるためのもの」なんです。

みなさんが目にしやすい「自衛隊の姿」といえば、災害派遣かと思います。
突然の大災害が発生しても、自衛隊はすぐに出動し、救助や支援などの「やるべきこと」を「安全に」遂行する……これは、訓練を繰り返しているから可能なことです。
そして、「やるべきこと」が法制ではっきりと決まっているからです。

「やるべきこと」が法制ではっきりと決まっているから、それに則った訓練を行うことができ、そして万が一の発災でも「やるべきこと」を「安全に」遂行することができるんです。

法制がないままだと「やるべきこと」がはっきりしませんし、そのための訓練もできません。
訓練しようにも、「なにをするのか」「どうするのか」が分からなければ訓練のしようがありません。
法制により、「やるべきこと」がはっきりしているから、「どんな危険があるのか」も想定できますし、そのために「どう安全を確保するのか」という訓練ができるんです。

今回の平和安全法制の施行では、「やるべきこと」がはっきりとしました。
法制が施行され、任務が確定したことで「やるべきこと」が明確になり、それをどう実行し、その際に「どう安全を確保するのか」という訓練ができるようになりました。
「自衛官のリスクを下げる」訓練ができるようになりました。

どんな任務にも、リスクは付き物です。
そしてそのリスクを下げるには、訓練を続けるしかありません。
法制で「やるべきこと」を明確にし、どんなリスクがあるのかをしっかりと認識した上で、訓練を続けなければならないんです。

守るべき人は誰なのか。
守るべき人をどう守るのか。
そのための法制はどうあるべきなのか。

私は、一日本国民として、日本人の安全をより確保できるようになった今回の法制を歓迎します。
そして、「自らのリスクを受け入れた上で現場に向かう」当事者の自衛官や、そのご家族を友人に多く持つ身としても、法制で任務が明確化され、「安全の確保」を含めた本格的な訓練が始まったことを歓迎します。

もちろん、まだまだ改善すべきところはたくさんあると思いますが。
日本や自衛官のことを本気で考えている人は、現状に満足していないでしょうし、私も同じです。
「今の法制で未来永劫パーフェクト」とは思っていません。

「思想や意図的ななにか」をゴリ押すためにガーガー叫ぶのではなく、本質を見据えた建設的な議論が活発に交わされることを、心から強く強く望んでいます。


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■コメント

■お久し振りです [りくじ]

久しぶりにコメント致します。岡田さんの熱い気持ちのこもった解説、大変分かりやすく拝読致しました。私も同感です。岡田さんは、このテーマに全く飽きていませんね。いや、私は正面から向き合わなければならないテーマですね! 訓練は寒かったでしょう… 時節柄ご自愛下さい。
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プロフィール

okadamari

Author:okadamari

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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