■自衛隊海外派遣のお勉強~「ソマリア沖の海賊対処活動」編 その2

自衛隊海外派遣のお勉強~「ソマリア沖の海賊対処活動」編 その1
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-260.html

の続きです。

集団的自衛権、安保法制関連が世間でわーわー言われるようになってから、私にもいくつかの媒体からコメントを求めるオファーがありました。

私の知識で世間のお役に立てることがあるなら……と、すべて積極的にお応えしていたんですが、残念ながらそれが表に出ることはありませんでした。
というのも、オファーをくださったところがすべて
「岡田さんは予備自衛官だから、集団的自衛権には反対ですよね?」
という論調で……。

「いや、私はこう思っていますよ。なぜなら云々……」
と、これまでのコラムにも書いたようなことを返信したのですが、残念ながらリプライすらありませんでした。
無視かよ!!
がんばって返信したのに!!

「取材をさせて頂いたものの、諸事情で掲載には至らなかった」というのは、そう珍しいことではありません。
私も、取材する側、される側のどちらもで、同じ経験はあります。
でも、当たり前のことですが、お詫びのご連絡はしますし、くださいます。

が、リプライすらないって……せめてさあ、なんかひとことくらいはさあ……まあ、みなさんよっぽどお忙しかったんでしょう。

各社のみなさま、私は別に怒ってませんので、なにかありましたらまたご連絡ください。
自衛隊の活動を世間に正しく伝えて頂けるなら、できる限りご協力したいと思っていますので。

いろんなオファーを頂く中で、一件、とても印象的なメールがありました。
やはり集団的自衛権絡みのコメントオファーだったんですが、頂いたメールにこんな一文がありました。

「岡田さんはソマリアに行かれた経験があり、海外派遣の危険性はよくご存知だと思いますが……」

私はソマリアに行ったことはありません。
行ったのは、「ジブチ共和国」です。
「ソマリア沖」での海賊対処活動をしている自衛隊の拠点がある、ジブチ共和国です。
自衛隊は「ソマリア」には派遣されていません。

……と上記の文章、すんなり理解できるのは、自衛隊の海賊対処活動についての知識を持っている方だけだと思います。
なので、勘違いされるのはしょうがないっちゃあしょうがないんだとは思います。

が、せめて、集団的自衛権や安全保障の取材をする方くらいは、この程度の知識は最低限持っといて欲しいなぁ……とか、私が「ソマリア沖」の自衛隊派遣に絡んで海外取材したことを知ってるんだったらそこは理解しといて欲しいなぁ……とか、こんな基礎知識もない方が海外派遣の危険性がどうのとか書いてるんだなぁ……とか、すみません、正直思ってしまいました。

もちろん、思ってるだけじゃなくて、ちゃんと「こうこうこうですよ」と丁寧に返信しましたけどね。
やはりリプライはありませんでしたが。
せめて、ちゃんと読んでくださって、知識を持って頂けたことを願います。

……と、今回は、このややこしい「ソマリア沖」だとか「ジブチ」だとかのお話です。

前回書いたように、自衛隊は、アデン湾のソマリア沖で「海賊対処活動」をしています。
海賊から船を守るために、護衛艦とP-3C(パトロール・プレーンの飛行機)が派遣されています。

護衛艦は海に浮かんでいられるので、スタッフ隊員さんたちは護衛艦の中でお仕事や生活をすることができます。
が、飛行機は着陸したり整備したり、そしてスタッフ隊員さんたちのお仕事・生活の場が必要です。

そこで自衛隊は、P-3Cの活動のための拠点を、ソマリア沖に近い「ジブチ共和国」というところに置いています。
で、私も2年前に、このジブチ共和国で4カ月過ごしてきました。

ジブチ共和国はここにあります。

djibouti.jpg
(クリックで拡大します)

あ、別にiPhone失くしたワケじゃないですよ。
ジブチにいたときにふと、「『iPhoneを探す』で出てくんのかな?」と思ってやってみただけで。

この画像の真ん中緑丸がジブチ共和国です。
この縮尺だと、緑丸に隠れて「ジ」しか見えませんが。
ジブチ、小っちゃな小っちゃな国なんで。
面積は、四国よりちょいと大きいくらいです。

そして、緑丸の右に「アデン湾」の文字が分かるでしょうか。
ここが、前回「世界的に重要な海上輸送ルート」と書いたアデン湾です。

ヨーロッパからアジアに行くには、地中海からスエズ運河(画像では「カイロ」の右あたり)を通って、紅海、そしてアラビア海へと抜けますが、この紅海とアラビア海の間にアデン湾があります。
アジアからヨーロッパへは逆ルート。

画像では、「ソマリア」の文字はちょっと下の方にありますが、ジブチと面しています。
国境も緑丸で見えませんが。

このソマリアがアデン湾に面しているあたり(ソマリア沖)に、海賊がうじゃうじゃ出没するワケです。
で、石油とか輸出入品とかを運んでる船を襲撃するんです。
ので、各国軍と自衛隊がここに派遣されていて、船を海賊から守っているワケです。

そして、海賊を監視する飛行機は着陸する必要があるので、「アデン湾・ソマリア沖」のご近所にある「ジブチ共和国」にその拠点を置いています。
ジブチ国際空港からP-3Cが離陸して、アデン湾を監視飛行。
そして、任務が終わればジブチ国際空港に帰ってきます。

ジブチ共和国は、元々フランス領でした。
独立したのは、1977年。
私も1977年生まれなので、ジブチと同い年です。

ジブチは独立後もその国防をフランス軍と一緒にやっていて、国内には今もフランス軍基地があります。
そして、海賊対処活動で飛行機の離着陸が必要になったため、欧米の各国軍もジブチに基地を置きました。

自衛隊も、2009年から海賊対処活動に参加し始めましたが、最初は拠点を持っておらず、ジブチの米軍基地に間借りをして、P-3Cの整備や隊員さんの生活を賄っていました。
しかしいつまでも居候するわけにはいかないので、2011年に自衛隊独自の拠点を置きました。

ジブチにある自衛隊の拠点は「ジブチ拠点」といわれています。
現地ではラフに「ジャパン・ベース」と呼ばれていました。
(余談ですが、自衛官は現地で「ジャパン・ミリタリー」とか「ジャパニーズ・ソルジャー」と呼ばれていました)

が、「ジブチ拠点」は正式名称ではなく、正しくは「派遣海賊対処行動航空隊」です。
長っ。
自衛官さんたち自身も「長っ」と感じているのか、「派遣海賊対処行動航空隊」は略して「ハコウクウ」と言われています。

そして細かく言うと、「ジブチ拠点」には「派遣海賊対処行動航空隊」だけじゃなく、「派遣海賊対処行動航支援隊」もあるんですが……このあたりを解説し始めたらややこしくなるので割愛。
まあ、ざっくり言うと、自衛隊のジブチ拠点には

○P-3Cのスタッフ(派遣海賊対処行動航空隊
・飛行機に乗るクルー
・飛行機を整備する人

○海賊対処活動をサポートするスタッフ(派遣海賊対処行動航支援隊
・拠点を警備する人
・食事や建物の管理をする人
・海賊対処活動の事務仕事をする人

がいる、って感じです。

では、そんな「ジブチ拠点」のある「ジブチ共和国」とは、どんな国なのか?
しつこく来週の「その3」に続きます!


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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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