■「憲法9条をもう1回よく読んでみようキャンペーン」実施中!!

まず、何人かの方からご指摘があったので前置き。

私のこのコラムは、完全に私の「趣味」です。
ライターとしてのお仕事ではありません。
(お金はどこからももらえません。でも誰かくれるんならありがたく頂戴します。あ、でもお金が発生すると書きたいことが書けなくなりそうなのでやっぱやめときます)

そして、このコラムに自衛隊は一切関知していません。

読んでくださってる自衛官の方はいらっしゃるようですが。
好意的に見てくださってる方もいるかもしれませんし、苦々しく思っていらっしゃる方もいるかもしれません。

私は予備自衛官ですが、自衛官としての義務は「招集中」にしかありません。
自衛官は「政治的活動に関与せず」ですし、またその身分で言論を発信することには許可が必要です。

でも、予備自衛官は普段社会人としていろんな企業などで働いていて、中には議員をやってたり、その秘書をやっている方もいます。
「政治的活動」は、招集中には「関与せず」ですが、招集中以外では何の問題もありません。
(招集中に、「ここに投票してよ~」とかの「政治的活動」をするのはアウトですが、「招集中以外」であれば、何の問題もありません)

そして、言論も同様です。
芸能人の予備自衛官が、招集中以外にテレビや新聞でどんな発言をしようと、自衛隊には関係がありません。
他の職業でも、同様です。

予備自衛官とはいえ、自衛隊はその招集中以外での言動には、一切口出しできません。
予備自衛官は、そういう制度で成り立っています。
予備自衛官になることができないような、自衛隊法に触れることをする場合は別ですが。

私は、招集中以外は「民間人」です。
(自衛隊ではよく、自衛官以外の人のことを「民間人」という言い方をします。便利な言葉なので、ここでも同様に「民間人」と書きます)

私は、招集中以外は民間人なので、私がなにをどう書こうと自由です。
自衛隊の指図は受けませんし、また自衛隊も私に指図することはありません。

ですが、招集中の訓練でどういうことをやったとか、招集中に知った武器の性能だとかを、もし書くのであれば、例え民間人の立場であっても、許可を取らなければなりません。
「招集中に(自衛官と同様の立場で)知り得たこと」なので。

このコラムでも、過去に招集訓練のことを詳細に書いた物がありますが、それらはすべて許可を取ってあります。
クビにはなりたくないですから。
クビ以前に、国防の妨げにはなりたくないですから。
(最近は、許可取るのが面倒で招集訓練のことは細々とは書いてませんが。もし関係することに触れるにしても、既にOKを出されていることや、防衛省・自衛隊が公にしている資料などに書かれてる範囲で留めています。許可取るのが面倒なので)

しかし、「民間人」のライター、もしくは一個人としての立場で見聞きしたことは、許可なんかいりません。
自由に書くことができます。

私が自衛隊のことをあれこれ書いてるのは、自衛隊からなにか特別な扱いをされてるからではありません。
ただ単に、ここに物好きな予備自衛官がいる、というそれだけのことです。

とはいえ、やはり国防の妨げになることはしたくありませんので(私の書いたことで武器の性能がバレたりすると自衛官の命、そして日本国民の生命と財産に関わりますので)、機密に当たることは書きません。

そして、○○出版社の雑誌や書籍といった「媒体」で取材したことを書くにあたっては、出版社の担当さんにも「どこまで書いていいか」をご相談しています。
出版社にご迷惑を掛けることもしたくありませんから。

招集中でも、取材中でも、いろんな制限があります。
それは、国防のために必要だからです。
だから、私もそれに則っています。

その上で、規則に違反することなく、そしてどこにもご迷惑を掛けることなく、「一、民間人」「一、日本国民」としてこのコラムを書いています。
なので、これまで読んでくださった方はお気付きだと思いますが、要所要所でボカした書き方をしています。

自衛隊のどんな職種に就くには、どんな身体能力が必要なのか、とか。
どんな任務をするときに、どの部隊がどんな行動をするのか、とか。

この辺りは、ネットなんかにも出てることがあるので、興味がある方は調べてみてください。
それが正しいのかどうかは分かりませんが。
私の口からは言いません。
すみません。

このコラムは、自衛隊にも、どの出版社にも関わりがなく、完全に一個人の「岡田真理」が個人の思いで「趣味」として書いています。

……と言っても、「ウソつけ」「誰が信じるかそんなこと」とおっしゃる方もいるとは思いますが。
でも、私の書くことを「ウソだ」「信じられない」という方はいらっしゃるのに、私が「予備自衛官である」ことを疑う人はまだ一人もいらっしゃらないんですよね。
そこんとこを、なんで信じてもらえているのか、もしお手間じゃなかったら教えてください。
「人はどういうことを信じて、どういうことを信じないのか」ってのに、純粋に興味があるので。

前置きは以上です。

では、本題。

今回も

「反戦」の方法
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-251.html

「国防」の方法
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-253.html

徴兵されないか不安なみなさんへ。
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-254.html

【質問】大戦中の日本や現代の他国のように、今の日本が徴兵をすることはないの?
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-255.html

【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。経済的理由で自衛官になること
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-256.html

に引き続き、安保法制関連です。
今回は、「憲法9条を、みんなでもっかい読んでみようよ」ってお話です。

では早速、憲法9条の条文を見てみましょう。

日本国憲法第九条
第一項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


条文というのはなんでこうもややこしく書かれてるんでしょうか。
しかしややこしやややこしやとどんなにグチったとこでどうにもならないので、分かりやすく整理していきましょう。

ひとまず第一項は置いといて、第二項から。

前項の目的を達するため、
→陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
→国の交戦権は、これを認めない。


条文系を読むとき、多くの人がややこしく感じてしまうのがこの
「○○は、これを○○しない」
って部分じゃないでしょうか。
「“これ”ってなんだよ!どれだよ!」と。

もしここで引っかかったら、
「○○キタコレ」
という表現を思い出してください。

この場合の「これ」は、強調するための飾り的な言葉です。
バッサリ切り捨てても本来の意味は変わりません。

「○○キタコレ」も「○○キタ」と本来の意味は変わりませんよね。
でも、「○○キタ」より「○○キタコレ」の方が、より強調されたり語感が良かったりするので、「○○キタコレ」って言いますよね。
それと一緒です。

他には
「人間は、これ本来無一物である」
という文章。
この文章は
「人間は、本来無一物である」
と、「これ」をバッサリ切り捨てても同じ意味です。

ので、憲法9条の第二項は

前項の目的を達するため、
→陸海空軍その他の戦力は、保持しない。
→国の交戦権は、認めない。


と「これを」を外してみましょう。
お、たったこんだけのことで随分読みやすくなったぞ。

さて、続いて第一項。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
・国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
→永久にこれを放棄する


「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」は、そのままで難しくなく読めますよね。
ではその続き。

・国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
→永久にこれを放棄する


はい、また出ました。
「永久にこれを放棄する」
の、「これ」。

ここも、先ほどと同じく「これを」を外してください。
すると、
「永久に放棄する」
で、読みやすくなりました。

そして、憲法9条の最重要部分。
ややこしい文章を目の当たりにすると目が滑りがちなので、うっかりすると上記は

・戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、
→永久に放棄する


と読んでしまっちゃったりするんですが、

国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
→永久に放棄する


です。

ので、「永久に放棄」しているのは
・「国権の発動たる」戦争
・「国際紛争を解決する手段としての」、武力による威嚇又は武力の行使
だけなんです。

ここ、覚えといてください。
「国権の発動たらない」戦争や、「国際紛争を解決する手段ではない」武力(威嚇も行使も)は、「永久に放棄」されていません。

「んんん~???」と頭がこんがらがった方がもしいらっしゃいましたら、もう一度自分で憲法9条の条文を読んでみてください。
「憲法9条をもう1回よく読んでみようキャンペーン」実施中ですから。
もう1回、もう1回、と何度でも読んでみてください。

ということで、憲法9条の第一項は
「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求してるよ」
そして、
「国権の発動してない戦争はしてもいいよ」
「国際紛争を解決する手段じゃなかったら武力行使してもいいよ」
って言ってるんです。

いや、だからってやんなくてもいいんですよ。
憲法9条が「いいよ」って言ってるからって戦争しなくてもいいんですよ。
私が武力行使に打って出ろって言ってるワケじゃないですよ。
当たり前ですが。

第二項では、

前項の目的を達するため、
→陸海空軍その他の戦力は、保持しない。
→国の交戦権は、認めない


と言っています。

「前項の目的を達するため」も、「国権の発動たる」「国際紛争を解決する手段として」と同じく、目を滑らさずにちゃんと読みましょう。

第一項の

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
・国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
→永久にこれを放棄する


の目的を達するため、

→陸海空軍その他の戦力は、保持しない。
→国の交戦権は、認めない


です。

「陸海空軍その他の戦力は、保持しない」も、「国の交戦権は、認めない」も、「前項の目的を達するため」です。
「前項の目的を達するため」ではなかったら、「陸海空軍その他の戦力」を保持してもいいし、「国の交戦権」も認められています。

もし、また「んんん~???」となったら、何か別の分かりやすい言葉に置き換えてみてください。
例えば、高校野球。

A高校は、甲子園に出場することは、永久に放棄する。
この目的を達するため、野球部は保持しない。


この場合、A高校が永久に放棄しているのは、「甲子園に出場すること」です。
「河川敷グラウンドで近所の草野球チームと試合をすること」は放棄していません。

「甲子園出場を永久に放棄する」という「目的を達するため」に、「野球部は保持しない」なので、河川敷グラウンドで近所の草野球チームと試合をするためだったら、野球部や野球サークルは保持してもいいですよね。
草野球じゃなくても、「県大会決勝までに必ず負ける」のであれば、県予選の試合に出ても問題ありません。
まあ、そんな試合はやる気出ないでしょうけど。

それか、「甲子園」ではなく「神宮」に出場するために軟式野球部を……あ、もういいですかそうですかすみません。

もし、「何があっても野球部は保持しない」のであれば、「この目的を達するため」という文は不要です。

A高校は、甲子園に出場することは、永久に放棄する。
また、野球部は保持しない。


とかでもいいワケです。
「この目的を達するため」という文の存在は、その後の「野球部は保持しない」を限定的にしています。

ので、まとめると、憲法9条は

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求してるよ。
国権の発動してない戦争はしていいよ。
国際紛争を解決する手段じゃなかったら武力行使(威嚇も)していいよ。
「国権の発動たる戦争」じゃない戦争や、「国際紛争を解決する手段として」じゃない武力のためなら、陸海空軍その他を保持してもいいし、交戦権も認めるよ。


って言ってるんです。

いや、だからってやんなくてもいいんですよ。
憲法9条が「いいよ」って言ってるからって戦争しなくてもいいんですよ。
私が武力行使に打って出ろって言ってるワケじゃないですよ。
しつこくてすみません。

なので、憲法9条的には

・国防のために自衛隊が存在する
・なんだったら自衛隊じゃなくて陸海空軍を作る
・侵略されないように武力で威嚇する
・尖閣諸島になんかやってきたら武力を行使する
・拉致被害者を救出するために自衛隊が北朝鮮に行って、もし救出を妨害されたらドンパチやる
・外国の海にいる海賊や機雷から日本の船舶を守るために武器を使う
・集団的自衛権を行使して、日本を防衛するために武力行使をする
・国内のテロを防ぐために、自衛隊がテロ組織を武力でやっつける
・日本国内だったら内戦だってクーデターだってやりたい放題

これ、全部オッケーなんです。
どれも「国権の発動たる戦争」でも「国際紛争を解決する手段としての武力」でもないですから。
「武力行使は自衛のためならオッケー」という論をよく聞きますが、「自衛」に限らず、「国際紛争を解決する手段」でなければ全部オッケーなんです。
だって、条文にはっきりそう書かれてるんですから。

あ、あくまでも「憲法9条的には」ですよ。
日本は憲法9条だけで動いてないですからね。
法は他にもたくさんありますからね。
外交も経済も大事ですからね。
あくまでも「憲法9条では禁止されてない」って話ですからね。
やんなくてもいいんですからね。
ってか「日本国内だったら内戦だってクーデターだってやりたい放題」ってなんだよそれやめてよ。
いや私が書いたんですけど。

一方、

・集団的自衛権を行使して、同盟国の紛争に武力で加担する
・竹島を奪還するために武力を使う

は、憲法9条で認められていません。
これらは「国際紛争を解決する手段としての武力」なので。

「集団的自衛権を行使して、同盟国の紛争に武力で加担する」が「国際紛争を解決する手段としての武力」なのは分かりやすいですよね。
「同盟国の『紛争』」なので。同盟国との関係は「国際的」なものなので。
「国際紛争」ですよね。
だから、憲法9条的にNGです。

そして、竹島問題。
日本は、竹島問題を解決するために、過去に3度、国際司法裁判所への付託の提案をしています。
「紛争ではない」のであれば、裁判所への付託の提案なんかしません。
外務省の資料でも、竹島問題を「紛争」と明記しています。
そして竹島問題は、日本と韓国の国際間のもの。
なので、「国際紛争」であり、それを解決する手段としての武力行使は憲法9条的にNGです。

……と、ここでついでに韓国側の主張も見ておきましょう。
韓国側は、竹島問題を「紛争ではない」としています。
「竹島は韓国固有の領土である。領土紛争は存在しない。紛争がないのだから国際司法裁判所への付託に応じる必要はない」
というのが、韓国側の主張です。

……となると???

韓国側の主張を日本側が受け入れ、日本側も「おk。紛争ではない」とすれば、竹島に自衛隊が武力で乗り込むのも憲法9条的にはOKなの?
いや、そもそも韓国側が「紛争ではない」と言ってるんだったら、日本側が「紛争である」と言ってても憲法9条は「武力行使できる」って言ってるの?
憲法9条の「国際紛争」って誰が判断するの?

それに、憲法9条は「国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇も、永久に放棄する」って言ってるから、自衛隊が災害派遣でヘリ飛ばしてるだけでも「それは武力による威嚇だ!国際紛争を解決する手段として武力を見せつけてる!威嚇だ!」って国がもしあれば、自衛隊は災害派遣もしちゃダメなの?
憲法9条の「威嚇」って誰が判断するの?

さー、ややこしくなって参りました。

何が「国際紛争」で、何が「国際紛争ではない」のか。
「国際紛争」や「威嚇」は誰が判断するのか。
みなさんも、ご自身で考えてみてください。
研究してみてください。
日本国民みんなの憲法ですからね。
忙しくてなかなかそんな時間は取れないかもしれませんが、ぜひなんとか時間を作って考えてみてください。

というのもですね。
今回、このコラム書くためにめっちゃ調べたんですよ。
「この資料ってどこにあるか教えてもらえませんか?」って関係省庁に問い合わせたりして。
その前にまず「この資料がどこにあるのかをどこに問い合わせたらいいのか」を調べたりして。
すんげー時間掛かったんですよ。
んで調べるうちに、資料を読むうちに、「ふーむ」となったり、「はあ?!」ってなったり、「お、おう……」ってなったり、「フンガー!」ってなったり、「なるほど」となったり……という感情の起伏をみなさんにも体験して欲しいんですよ。
あ、これは「私が一生懸命調べたんだから簡単には教えてあーげない!」ってんじゃなくてですね。
その感情の起伏、そして理解によって、「憲法9条」のことをめっちゃ考えたんですよ。

これ、ぜひとも一人でも多くの人にやって欲しいな、と。
面倒臭いですかそうですかすみません。

何が「国際紛争」で、何が「国際紛争でない」のか……は、ひとまず置いとくとして、話を憲法9条自体に戻します。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求してるよ。
国権の発動してない戦争はしていいよ。
国際紛争を解決する手段じゃなかったら武力行使(威嚇も)していいよ。
「国権の発動たる戦争」じゃない戦争や、「国際紛争を解決する手段として」じゃない武力のためなら、陸海空軍その他を保持してもいいし、交戦権も認めるよ。


こう見ると、憲法9条を「平和憲法」と呼ぶにはだいぶ物足りない感じもしてきます。
憲法9条を「世界の宝」とまで言う方々がいますが、そしてその方々は
「憲法9条を守れ~!」
とデモやってアピールしてたりしますが、あれって
「尖閣が侵略されるのを防ぐ武力を放棄してないぞ~!」
「自衛隊が北朝鮮行って拉致被害者を救出するために武力行使するのはオッケーだ~!」
って言ってるようなもんだったり……まあ彼ら的にはそうではないんでしょうけど、でもまあそう受け取られても文句は言えないような気もしてきます。

現在、「集団的自衛権が違憲か合憲か」と話題になっていますが、憲法9条には「集団的自衛権」自体は関係ありません。
武力の行使や威嚇が、「国際紛争を解決する手段かそうでないか」なんです。

・集団的自衛権を行使して、国際紛争を解決する手段ではない武力行使をする
→憲法9条的にOK

・集団的自衛権を行使して、国際紛争を解決する手段としての武力行使をする
→憲法9条的にNG

というだけなんです。

なので、「集団的自衛権を行使して、北朝鮮から飛んできたテポドンが日本に落とされる前に、自衛隊と米軍が協力して発射されたテポドンを破壊する」とか「集団的自衛権を行使して、尖閣が侵略されそうになったときに、自衛隊と米軍が協力してそれを防ぐ」は、憲法9条的にOKです。

最近よく、「集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカの戦争に自衛隊が駆り出される」という論を聞きます。
この「アメリカの戦争」が何を指すのかはっきり分からないんですが、日本には関係のない、もし関係があっても「国際関係上」でしかないものであれば、それは「国際紛争」です。
なので、これははっきりと憲法9条的にNGです。
憲法を守りましょう。

現在、政府は「集団的自衛権をどのような場合に行使するのか」をさまざまな場で表明しています。
が、どれも「国際紛争を解決する手段としての武力行使(威嚇)」ではありませんし、もちろん「国権の発動たる戦争」でもありません。

しかし、テレビや新聞、ネットなんかでは「集団的自衛権を行使容認すると、こうこうこういう戦争に日本が巻き込まれる!自衛隊がそのために戦争をすることになる!」というのをよく聞きます。
そしてこの「こうこうこういう戦争」は私の見聞きする限り、「それは国際紛争だよね」というものです。
だったら、それは完全に違憲です。
憲法を守りましょう。

この「こうこうこういう戦争」を、政府がやるって言ってるの、私は探したけど見当たらないんです。
政府がやるって言ってるのは、どれも「国権の発動たる戦争」でも「国際紛争を解決する手段の武力」でもないんです。
そして、「戦争をするために」集団的自衛権を行使しようと言ってるのではなくて、「戦争にならないために」「日本が平和であるために」集団的自衛権の行使を容認しようって言ってるんです。

確かに、日本政府は過去に、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」という結論を出しました。
(1972年、「集団的自衛権と憲法の関係」)

でも、この時は東西冷戦の真っただ中でした。
自衛隊も、「北の守り」が中心でした。
当時は、新型戦車などの最新の装備品は、まず北海道に配備されていたほどです。

この時代なら、想定される「集団的自衛権を行使した武力」は、「国際紛争を解決する手段」です。
冷戦中の米ソの狭間に日本が存在していたことを考えると、その中で日本が「集団的自衛権を行使する」ことは、「国際紛争を解決する手段」に直結します。

でも、今は違います。
冷戦どころか、ソ連がとっくに崩壊しており、日本の脅威は西に寄ってきています。
自衛隊も「北」ではなく「西の守り」を中心に考えています。
北海道の部隊は縮小され、九州に新しい部隊を作るなど、自衛隊による「国防」も当時とはまったく変わっています。
今、「集団的自衛権を行使する武力」は、「国際紛争を解決する手段」ではないこともたくさんあります。

政府による「憲法解釈」が変わったのではなく、この40年の間で「日本にとっての脅威」が変わったんです。
脅威が変わったことで、「脅威に対して、集団的自衛権を行使する武力」が、「国際紛争を解決する手段なのかどうか」が変わったんです。

そして、今回の安保法制は、「集団的自衛権を行使することが可能である状態」にすることが目的であって、「なにがなんでも絶対に集団的自衛権を行使しなければならない」というワケではありません。

「反戦」の方法でも書きましたが、「自衛隊はいざとなればこういうことができる」という権利や力を持つことは、どこかの国や組織が「じゃあ日本にちょっかい出すのやめとこ」となるのにつながります。
いわゆる「抑止力」です。
「集団的自衛権の行使容認」は、戦争を防ぐ「抑止力」なんです。

「集団的自衛権を行使できる」ことにより、自衛官のリスクが高まるという論もありますが、自衛官のリスクを一番下げるのは、「戦争が起こらないこと」です。
自衛官のリスクを高めたくないのであれば、「抑止力」をできるだけ大きなものにしなければなりません。

「集団的自衛権を行使できるようになれば、アメリカの戦争に自衛隊が駆り出される」。
先ほども言いましたが、これは明らかに違憲です。
違憲の状態でのリスクをあれこれ心配し始めたら、憲法で決められてるありとあらゆるものを心配しなければならなくなります。

ここで、海外派遣についても書こうかと思ったんですが、また長々としてしまうので、また後日「海外派遣について」を単独で長々書きます。
しばしお待ちください。

もう一度言いますが、憲法9条で放棄しているものは、
「集団的自衛権」
には関係なく、
「国権の発動たる戦争」
「国際紛争を解決する手段としての武力」
のみ、なんです。

……と、ここまで読んで、
「いやいや、ほんとに?」
「憲法9条って戦争しないためのものでしょ?」
「なに言ってんだこのババア?」
「信じられない!」
と感じた方、結構多いんじゃないでしょうか。

白状すると、エラソーにこうやって書いてる私も以前はそうでした。
憲法9条のことを、誤解していました。

「日本は憲法9条があるから戦争にはならない」
「自衛隊は憲法違反だ。9条に明記されている」
学校でも先生からそう教わりましたし、新聞やテレビでもそう言ってました。
だから、私は「憲法9条はそういうもの」だと思っていました。
先生や新聞・テレビから何度も、憲法9条はそういうものだと聞いていたので、そのまま受け取っていました。

でも、以前の私は憲法9条をちゃんと読んだことがありませんでした。
だってわざわざ読まなくても、先生や新聞、テレビがそう教えてくれたから。
ちらっと見たことはあっても、なんか文章がややこしくて「あーほんとだ、なんか戦争放棄とか保持しないとかって書いてある」で終わってたから。
自分で憲法9条の条文をちゃんと読み、自分で理解しようとすらしたこともないのに、憲法9条のことを知ってる気でいました。

だから、「自衛隊は日本が平和であるために必要な組織なのに、なんで憲法違反なんだろう。だったら憲法改正ってのをした方がいいんじゃないの?」とか、「自衛のための武力行使も禁止されてるんだったら、憲法改正はするべきだ」と思っていました。

でも、ちゃんと読んでみたら、自衛隊の存在だって、自衛のための武力行使だって憲法9条は認めてるんです。
「憲法解釈」って、「解釈」もなにもはっきりとそう書かれてるんです。
「憲法解釈」じゃなくて、単に「国語の問題」です。
(まあ、作られた過程が過程なので「英語の問題」にも絡んでくるんですが。この辺に関しては、このコラムの最後に補足しますのでご覧ください)

初めて自分でちゃんと憲法9条を読んだときは、
「うわーなんだよそれ超だまされてたよこんちきしょー!」
って、正直思いました。
だまされたも何も、ただ単に自分でちゃんと読んだことがなかっただけなんですけどね。

そして、自分でちゃんと読んで理解をしても、その自分の理解がしばらく腑に落ちないでいました。
そのくらい、長年ずっと誤解してたので。
誤解の時間が長ければ、「自分でちゃんと理解した憲法9条」を自分の物として消化するのに、時間がかかってもしょうがないのかもしれません。

「集団的自衛権は憲法9条に反している」
新聞やテレビ、ネットでそう聞いて、「そうなんだ。集団的自衛権は違憲なんだ」と思っている人もたくさんいるんじゃないかと思います。
私も、憲法9条の条文をちゃんと読む以前だったら、そう思っちゃってたかもなーと思います。

「自衛隊は違憲だ」
「集団的自衛権は違憲だ」
言うのは自由です。
日本には言論の自由がありますし、どんな人の言論も尊重されるべきだという優れた文化があります。

でも、言われたことをそのまま受け取るんじゃなくて、言われたことをそのまま「自分の考え」にして「自分の言論」にするんじゃなくて、一回考えてからの方がより素晴らしいんじゃないかな、と。
そっちの方が、より「優れている」んじゃないかな、と。

自分でちゃんと読んで理解をすれば、
「憲法9条があれば日本が戦争に巻き込まれることはないと思ってたけど、これじゃあ不安だから、もっと戦争放棄や武力放棄を明確にするために憲法9条を改正しよう」
とか、
「これまで、自衛隊は違憲だから憲法9条は改正するべきと思ってたけど、よく読めばそうじゃないし、だったら改正しなくてもいいんじゃない?」
とか、
「この『国権』とか『国際紛争』とかってのが分かりにくいから、もっとはっきりさせた条文に改正した方がいいんじゃないか」
とか、また新たな考えが出てくるかもしれません。

憲法9条の条文を、もう一度「自分で」ちゃんと読んで、「自分で」理解する……ひとりでも多くの人に、ちょいとやってもらえたら嬉しいです。

もし読んでみても上手く消化できなかったら、何度も何度も読んでみてください。
考えて、また読んでみて考えて、一晩置いてまた読んでみて考えて……自分でよく消化してください。
そしたら「俺はこう思う」「いや、私はこうだ」ってのが出てくると思います。

ちなみに私は、「憲法9条を改正する」ことに賛成か反対かというと、「どう改正するかによる」です。
今後、「憲法9条をこういう風に改正しよう」という話になったとき、その条文案を読んで賛成・反対を考えます。
日本の平和につながる改正なら大賛成しますし、そうでないなら大反対します。

憲法9条は、すべての戦争、すべての武力を放棄していません。
憲法9条があったって、それだけでは日本が平和であり続けることはできません。

じゃあ、どうすればいいのか。
どうすれば、日本の平和を守れるのか。

これからも、みんなで一緒に考えていきましょう。
私もまた、いろいろ書いていきたいと思います。


※補足

憲法9条第一項の文章を分解する際、

・国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、
→永久にこれを放棄する


ではなく

・国権の発動たる戦争と、
・武力による威嚇又は武力の行使は、
→国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する


ではないかという方がいらっしゃるかと思いますが、英文から判断して前者にしています。

憲法改正の賛成反対は、「どう改正するかによる」と明言した岡田さんですが、「書き直す」はしてもいいんじゃないかなーと思っています。
だってねぇ……英文見ないとどっちか迷うような文章はねぇ……別にくだけた言い方にはしなくてもいいけど、もうちょっとこう、さあ……。
戦争と武力行使って大事なもん扱ってる文章なんだからさあ……。

余力がある方は、ぜひ英文も読んでみてください。
「えー?この訳っておかしくね??」的な疑問は、高校生くらいでも出て来ると思います。
特に「war as a sovereign right of the nation=国権の発動たる戦争」の部分とか、「The right of belligerency of the state will not be recognized=国の交戦権は、これを認めない」の部分とか……。
興味がありましたら、GHQの原案から見ていってもおもしろいと思います。

高校生、大学生のみなさん、お勉強の息抜きにぜひどうぞ。
あ、社会人のみなさんももちろん、ぜひどうぞ。

憲法9条の英文はこちらにあります。

Fundamental Concepts of National Defense
http://www.mod.go.jp/e/d_act/d_policy/dp01.html

の、
CHAPTER Ⅱ. RENUNCIATION OF WAR
Article 9.
の所です。

憲法9条の英訳ページを示すのに、なんで首相官邸のサイトでも外務省のサイトでもなく防衛省のサイトを貼り付けたかというと、一番見やすかったからです。
防衛省が気に食わない方は、他で探してみてください。
(文章は同じですが)


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■コメント

■Re:「憲法9条をもう1回よく読んでみようキャンペーン」実施中!! [やまもと]

論理的には「戦争放棄のため、戦力を保持しない」と「戦争のための戦力は保持しない」は同じではないと思います。
「甲子園出場を放棄するという目的を達するために、野球部は保持しない」という高校で、ユニフォームを着てバットを振り回して白球を追っている集団がいたら話が違うと思います。
「甲子園出場を目的とする野球部は保持しない」高校なら野球をやっている人がいても同好会かなと思います。
「戦争放棄の目的のため、戦力を保持しない」という一文のみからはやっぱり自衛隊の存在は無理があると思います。
「戦争や紛争解決のための戦力は保持しない」ならOK
自衛隊を否定するつもりはありませんが、論理としてはという話で

■Re:「憲法9条をもう1回よく読んでみようキャンペーン」実施中!! [ぽちまる]

高校野球の場合は、高野連に所属しなければ絶対に甲子園に出場できない野球部になりえるでしょうが
軍隊の場合はそうはいきませんよね。

解釈としては、専守の為の軍隊保有は問題なさそうですが、じゃあ何をもって国際紛争を解決しない軍隊と言えるのか。
軍備ゴリゴリの自衛隊は、仮想敵国、同盟国含め諸外国からは軍隊とみなされている現状、専守でーす!の宣言だけでは弱いと思いますよ。

あ、憲法解釈としては面白いの岡田さんを支持しています。

■ [こた]

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


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志方俊之・監修
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―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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