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■【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること

毎度毎度言わなくていいことかもしれませんが、今回もとっても長いです。
一気に読んでしまおうとせずに、ちょこちょこどうぞ。

いやでもね、長いのはみなさんのご質問やご意見に丁寧にお答えしようとしてるからなんですよ。
できるだけ分かりやすく丁寧に書こうとしたらこうなっちゃうんですよ。
長くなるのは私のせいじゃなくてみなさんのせいなんですよ。

あーあ、とうとう人のせいにし始めたよ。
最低だなぁ。

最低な岡田さんがお答えする今回のご質問は、いわゆる「経済的徴兵制」についてです。

前々回の
「徴兵されないか不安なみなさんへ。」
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-254.html

前回の
「【質問】大戦中の日本や現代の他国のように、今の日本が徴兵をすることはないの?」
http://okadamari.blog112.fc2.com/blog-entry-255.html

の続きモノですので、まず上記2本からお読みください。
(でないと、意味が分からない所が多々あると思います)

前々回、前回ともたくさんのコメントをありがとうございます。
一つひとつすべてにお答えしたいのですが、仕事を優先しなければならず、手が回らずに申し訳ありません。
すべて読んで、「ふむふむ」「なるほど!」「了解!」とか一人で言ってます。
頂いたご質問と合わせ、少しずつ回答していきますので、時間がかかりますが気長にお待ちください。
……で現状、お許しください。
わざわざお時間作って書いてくださってるのに、こんなで本当にすみません。

このコラムをお読みくださる方は、ぜひコメント欄も目を通してみてください。
そして、ご自身のお考えを持つ上での、参考にしてください。

応援メッセージをくださった方も、お気に掛けて頂いて本当にありがとうございます。
若い方からのメッセージで、新しい視点を持つこともできました。
ご自身の思いや夢を送ってくださる方もいらっしゃって、とても嬉しいです。
どうか、みなさんの目指す道を、真っ直ぐに歩いて行ってください。
本当に、本当に、ありがとうございます。

あと、某大学生さん、お誕生日おめでとうございます!

さて、本題。
「徴兵されないか不安なみなさんへ。」のコメント欄で、いわゆる「経済的徴兵制」についてのご質問(ご意見?)を頂きました。
今回は、その中のお二つを元にお話をします。

まずはひとつ目から。


【質問】
志願したくて志願する人ばかりではないと思う。志願せざるを得ない状況を今つくりだそうとしている。

特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念
http://mainichi.jp/shimen/news/20150723dde012010004000c.html
(毎日新聞)


※リンクまで貼ってくださってありがとうございます。
一度、リンク先を読んでから続きをどうぞ。


【回答】
私も毎日、「経済的強制労働」をしています。
以上。

……では解決しないでしょうか。

「徴兵」とは自ら進んでやるものではありません。

「お金がないけど勉強したいから防衛大学校に行く」
「お金がないから貸費学生になる」

これらは、「徴兵制」ではありません。
「経済的」をつけても「徴兵制」ではありません。
防衛大学校も貸費学生も、「志願」するものです。
自分で志願して初めて、その試験を受けることができます。

「経済的理由で自衛隊に入らざるを得ない。だからこれは『経済的徴兵制』だ」
という論法のお気持ちは分からないでもないのですが、正しくは
「経済的志願」
です。

ちなみに「徴兵」という言葉。
三省堂「大辞林」には
「国家が国民を強制的に兵役につかせること」
とあります。
「強制的に」です。

せめて
「経済的徴兵」
という言葉であれば、
「ああ、経済的理由で嫌々自衛隊に入るということを言ってるのかなぁ」
と想像できますが、
「経済的徴兵制」
と、「制」まで付けたらまったく意味が通じません。

「徴兵制」は、徴兵の制度を指します。
国家が
「年収○円以下の人、貯金○円以下の人を全員、徴兵する」
という制度を作れば、「経済的徴兵制」という単語もなんとか成り立つのかもしれませんが、そんな制度はありません。
そんな制度は古今東西、どの時代にもどの国にもありません。
(古代から現代まであらゆる「国家」や「社会」をしらみ潰しに調べたワケではないので分かりませんが。あります?)

「徴兵」とは、国家が国民に対し、強制的に課す「義務」です。
そこに国民個人の経済的事情は関係ありません。
(ここでは、台湾や北朝鮮が「国家」というものなのかどうか的なお話は省きます)

不正が横行している国で、いわゆる「袖の下」で徴兵を逃れるという事例はあるかもしれませんが。
でもこれは「不正」が行われているだけですからね。
「制度」ではないですからね。

なので、
「経済的理由で自衛官になる」
は、
「経済的志願」
です。

なんらかの目的があって、「徴兵」というものの不安を煽りたい方は、「経済的志願」ではなく、「経済的徴兵制」という言葉をわざわざ使いたいんだろうなぁというのは分かるのですが、「経済的徴兵制」ではなくて、「経済的志願」です。

そして、不安を煽りたいタイプの方々は手管がとても上手なので、その論調を耳にすると、なにか目的を持っているワケではない一般の方々まで不安になってしまいます。
勉強や仕事、家事や子育てなどで日々が忙しく、国防の知識を得る機会のない方は特に、不安を持って当たり前です。

そういう方々の不安を、少しでも解消するために、このコラムをお役立て頂けたらとても嬉しいです。

あと、「徴兵」というものを正しく理解せず、「経済的徴兵制」なんて言葉を使うのは、本当に徴兵制のある国の方々や、日本でも過去に徴兵された方々に、とても失礼だと思います。
「過去に若者が徴兵された悲劇を……」と、あの時代の若者を気遣うようなことを書きがちな新聞なんかが、「経済的徴兵制」なんて言葉を使っているのを見ると、当時の徴兵された方々をバカにされてるようでとても不快です。

現在も、お隣韓国には徴兵制がありますが、その徴兵(兵役)を免除される場合があります。
中でも、「スポーツの国際大会などでの成績によって、その代表選手が兵役を免除される」という話題は日本でも耳にしますよね。

もし「経済的徴兵制」という言葉が成り立つのなら、スポーツ代表選手に選ばれずに兵役を免除されない韓国の若者たちは「運動能力的徴兵制」ということになります。
これって、韓国の若者にすごく失礼じゃないですか?

もう一度言います。
「経済的理由で自衛官になる」
ことは、
「経済的徴兵制」
ではなく、
「経済的志願」
です。

……と、ここでこのお話は終わっても良さそうなもんですが、そしたら読者のみなさんも長文を読む必要はないのですが、せっかくなので「経済的志願=経済的理由で自衛官になること」を掘り下げてみましょう。

事実、経済的理由をきっかけとして高等工科学校や防衛大学校、防衛医科大学校、貸費学生を進路の選択として考え、そして志願し、自衛官になった方はたくさんいます。
「安全保障法制ガー」とか言う前に、もう既にたくさんいます。
毎日新聞さんの「特集ワイド:狙われる?貧困層の若者 「経済的徴兵制」への懸念」を書かれた小林祥晃さんが懸念しなくても、もう既にたくさんいます。
今さら懸念しなくても、バブル時代からたくさんいます。
彼らがどんな思いで防衛大学校を志願したかに誰も心を寄せなかったバブル時代からたくさんいます。
みなさん、立派にご勤務されています。

この記事を書かれた小林祥晃さん、「金がないから防大行くんだろ?可哀想に」みたいな言い方は辞めてください。
若者の心に寄り添うフリして若者の心を踏みにじるのは辞めてください。
あなたにそんなつもりはないかもしれませんが、実際に経済的な理由で心を痛めている若者がこの記事を読んでどう感じるかを考えてください。

まだ高校生なのに、家庭の事情と自分の将来を考え、覚悟を決めて防衛大学校を志願した人を侮辱するような物言いは辞めてください。
高等工科学校を志願した人は、それを中学生のときに決断してるんです。
まだ中学生なのに、親のこと、兄弟のこと、そして自分の将来をきちんと考えて決断した人を侮辱するのは辞めてください。

彼ら、彼女らも、そしてその親御さんもご兄弟も、心を持った人間です。
もう一度言います。
絶対に辞めてください。

貧困問題、ブラック問題は解決すべき事柄です。
でも、それは徴兵に結び付けることでしょうか?
自衛隊に絡めなきゃいけないことでしょうか?

この記事を書かれた小林祥晃さんがやるべきことは、「経済的徴兵制」なんて日本語を正しく使う業種の方とは思えないような言葉を操って若い人たちの不安をあおることではなく、貧困問題やブラック問題を正しく提起し、考察し、若い人たちの不安を少しでも取り除くことではないでしょうか。
この記事を書かれた小林祥晃さんが、自衛隊の募集方法を「お金のない若者を狙っている」ともし感じてしまったのであれば、若者に「安易にその道を選ぶのではなく、自衛官という仕事を正しく理解しましょう。志願するならちゃんと自衛隊を知り、自分で考えてからにしましょう」と伝えることではないでしょうか。
「自衛隊を知りたいなら毎年8月に富士総合火力演習やってるから見に行くといいですよ」とかそんなことまでは期待しませんが、若者の不安をあおるのではなく、正しく事実を伝えることではないでしょうか。

そして、若いみなさんへ。
学業に経済的な事情は、どうしても付いてきます。
将来に自衛官という選択肢があるのなら、高等工科学校や防衛大学校、防衛医科大学校、貸費学生を考えてみるのも良いと思います。

でも、自衛官になるのが嫌だったら、その道を選ばなくていいんですよ。
高等工科学校や防衛大学校、防衛医科大学校、貸費学生は、「自衛官になる」人が「志願」するものですから。
これらの進路を考えるのでも、同時に奨学金や奨学生、特待生、そして学ぶためのお金を作る方法もできるだけ熟慮してください。
いろんな人に相談してください。
できるだけ可能な選択肢を、まず知ってください。

自衛官という道を選ぶなら、その知識を得てください。
そのためにだったら、私も少しはお役に立てることがあるかもしれません。
もしなにかあれば、なんでも相談してください。

そして、自分でよく考えてください。
それから、あなたの決断をしてください。

「経済的な理由のみ」で、「やりたくもない自衛官をやる」。
私も、反対です。
その点に関しては、この記事を書かれた小林祥晃さんと同意見です。

あ、一応念のため。
経済的理由じゃなくて高等工科学校や防衛大学校、防衛医科大学校に進む人もたくさんいますからね。
当たり前ですが。

あ、あとこれらの学校、全部人気です。
倍率すごいです。
最終試験に合格して採用されるの、なかなか難しいです。
受験を考えている方は、その辺もがんばってくださいね!

私の友人・知人には、これらの学校出身の自衛官がたくさんいます。
お互いの学生時代なんかの話もフツーにしますので、「なんで防大行ったの?」と聞くこともあります。
すると
「だって、防大は学費かからないし」
「うち、金なかったからさ」
という返答はよくあることです。

防衛大学校、防衛医科大学校の、一般の大学との大きな違いは
・将来、幹部自衛官となる人が学ぶ学校である
・学費がかからず、手当がもらえる
の2点です。
(防衛大学校は「大学」ではありません。学生の身分は特別職国家公務員です。学業や訓練は「業務」なので手当ても出ますし、また受験料もありません)

なので、「なんで防大行ったの?」に、「だって、防大は学費かからないし」「うち、金なかったからさ」と返ってくるのはよくあることです。

ここまで聞くと、「ほらやっぱり!経済的な理由で可哀想に」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、彼らはそれだけでその進路を選んでません。

「なんで防大行ったの?」
「だって、防大は学費かからないし」
「でもさ、いくら学費がタダだっつっても訓練とか勉強とか厳しいでしょ?全寮制だし。防大は嫌だって思わなかった?」
「そりゃ厳しいけど、自衛官になるのに全部必要なことだから」

たいがい、こんな会話です。
彼ら、ちゃんと分かって進路を選んでるんです。
厳しいことも、辛いことも、それがなんのためにあるのかを分かった上で決断してるんです。
そして、今も自衛官をやってるんです。

めっちゃ厳しいですからね。
防衛大学校も防衛医科大学校も高等工科学校も。
経済的理由「だけ」で入ったら、続かないです。
「意思」がないと続かないです。
経済的理由のあるなしに関わらず、覚悟を決めて入校した人でも、辞める人はいます。
そんなところに、経済的理由「だけ」で入校したら、続かないです。
試験に合格して入校はできても、自衛官にはなれないです。

あ、めっちゃ厳しい防衛大学校、防衛医科大学校、高等工科学校ですが、卒業生から当時の思い出話を聞くとすんげー楽しそうです。
それだけ充実してたんでしょうね。

そして余談。

防衛大学校を卒業して自衛官になると、幹部自衛官として勤務をします。
自衛官は、階級で「曹士」、「幹部」とざっくり二つに分けられますが、このうち「曹士」は部隊で任務を実行する人たち、「幹部」は部隊を指揮する人たち……とこれまたざっくりですが、こんな感じです。

防衛大学校の学生は、高校卒業後に4年間、幹部自衛官となるための授業や訓練を受けます。
若い時代から専門的な教育を受けているので、将来は高い階級まで進みます。
(どのくらの高さまで行くのかは、人それぞれです)

この「高い階級」。
外国軍の場合、国によっては、この階級になることを許されているのは「それなりの家柄の人」だけだったりします。
よその国のことなので国名までは書かないでおきますが、みなさん当たり前に知ってる先進国も含まれます。
国によっては、「高い階級」になれるのは、生まれながらの、いわゆる「ええとこの子」だけだったりするんです。

しかし、日本の自衛隊は違います。
防衛大学校には、どんな家の人でも入校できます。
防衛大学校だけじゃなく、どんな学校も、そして学校だけじゃなく普通の入隊も同じです。
裕福だろうが、経済的に困ってようが、どんな家に生まれた人でも、試験で採用が決まります。
そして、生まれ育ちに関係なく、正当に昇進します。

これ、良いことじゃないですか?

私の知人では、中卒でフラフラした後18歳で自衛官になり(防衛大学校ではなく、曹士の「士」で入隊)、昇進し続けて2佐になった人もいます。
2佐は外国軍で言うと「中佐」。
「ムスカ大佐」と「シャア少佐」の間です。

自衛隊では、学歴も家柄も貧富も関係ありません。
努力と実力次第です。

ちなみに、「ええとこの子」しか高い階級になれない国の軍人と自衛官の、同じ階級の人同士で話していると、自衛官はよく
「え?あなたは○○屋の息子なの?」
とかで驚かれたりするそうです。

この「○○」はフツーのお店屋さんです。
八百屋さんでも魚屋さんでもおもちゃ屋さんでも散髪屋さんでもクリーニング屋さんでも、なんでも好きなお店を思い浮かべてください。
日本じゃ別に「え?なんでそれで驚くの?」ってことですよね。
でも、その国の軍人さんは「日本は○○屋の息子でもこの階級になれるのか」って驚くそうです。

その国にはその国のやり方があるでしょうから、そのことを別にどうこう思いません。
でも、「どんな家の子でも何にでもなれる」、「そのチャンスがある」って良いことだと思いませんか?

あ、だからってなりたくもないのになろうとしなくていいんですよ。
やりたい人だけ、チャレンジしてみてください。

……と、世界各国にいろんな軍はあるけど、それぞれ違うよ、外国の某国軍が家柄的なんたらの経済的どうたらのってあっても自衛隊は違うよ、そして自衛隊はこんな面もあるよ、というお話でした。
(まあ、「某国軍で経済的徴兵制が……」っての、その国でもそういうことを言ってる方は、やっぱり日本と同じくちゃんと理解できてない方だったりするんですけどね。まあ、よその国のことはあまり言わないでおきます。文化もそれぞれ違いますし)

では、次のご質問。


【質問】
徴兵というと嫌がる若者を無理やり連れて行くイメージがありますが、それだけではありません。
経済的に苦しい若者を高給(といっても税金ですが)で雇い入れることを「経済的徴兵制」といいます。
blogを読むとそれは「自分の意志で入隊」したという括りになるのでしょうね。

タイトルは「徴兵されないか不安な、生活に困窮していないみなさんへ」がいいんじゃないでしょうか


【回答】
「経済的徴兵制」という言葉のあれこれは上で書いたので省略。

で……あの……すみません……自衛官、給料安いですよ。
高給で雇い入れてもらえたら自衛官大歓喜ですよ。
いや、こんなこと言うのは自衛官のみなさんに対して失礼ですが。
いらんこと言ってすみません。

とりあえず、入隊するのに手っ取り早い、「自衛官候補生」を見てみましょう。
(募集期間などでの「手っ取り早い」です。もし経済的に苦しい若者が入隊を考えるならここを選ぶでしょうし)

こちらにその募集案内があるので、よ~く見て頂きたいんですが、手当は
月額126,900円
です。

2士に任官後は
月額161,600円
です。

任用一時金に心魅かれるかもしれませんが、月で割ったら大したもんじゃないというか「もらって当然」な額です。

経済的なことを考えたら、よそ行きたくなりません?
わざわざ生活のために自衛隊行く?
衣食住はタダだけど、それでもこの給料選ぶ?

あ、「住」は超最低限ですよ。
生活に必要な物は自分で買いますよ。
「筋トレしてのど乾いたからお茶買う」「夜走って腹減ったからカップ麺買う」とかももちろん自腹です。
そして「衣」も、私服やトレーニング時のジャージ、迷彩服の下に着るシャツなんかは面倒見てくれません。
あと訓練で使う物も、支給されるのは超最低限なので結構自腹切ります。
この辺は、駐屯地・基地のイベントで売店を覗けば「自衛官、これ自分で買ってるのね」と分かると思います。

私としてはもうちょっとお給料上げてもいいんじゃないかな~と思うんですが。
でも防衛予算もキビしいですからねぇ……分かるんですけど……。

友人に、自衛官候補生として入隊した隊員の奥さんがいるんですが、会えばお金のグチばっかり言ってますよ。
彼女もがんばって働いてますし。

そんで、自衛隊に入隊するの、そんな簡単じゃないですよ。
読者さんが「今度入隊試験受けます!」ってよくご連絡くれるんですが、いいご報告ばかりじゃないですよ。
自衛官も、予備自衛官補も。
倍率は調べれば出てくるので、興味がありましたら見てみてください。

もちろん、このお給料でもすがりつきたい境遇の方はいらっしゃると思います。
でも、自衛官の試験に合格して、さらに採用名簿に載れるような人だったら、そこそこの民間企業行けますよ。
もっと稼げますよ。

まあ、これも「戦争になったらそうとは限らない!」って言われるかもしれませんが。
「志願者減るから誰でも入れる!」って言われるかもしれませんが。
でも、戦争になったら余計に民間企業の方が割良くないです?

戦争になっても給料上がるとは思えないしなぁ。
だって戦争になったらそれ自体にお金かかるし。
お給料増に回せるかなぁ。
増えて欲しいですけど。
戦地に行けばその手当は加算されますが……これもやっすいですよ。
こないだ、「ダウンタウンなう」でもやってましたけど。

おヒマでしたら、自衛官候補生だけじゃなく、幹部候補生学校とかいろんな募集案内ページを見てみてください。
将来、どのくらいの階級でどのくらいの手当てなのかも、調べれば出て来ます。
階級高くなればお給料もそれなりになりますが……その実力あれば民間でもっと稼げますよ。

ちなみに、私の予備自衛官手当。
月額4000円
です。

飲み屋とかでよく「予備自衛官っていくらもらえんの?」と聞かれるんですが、答えたら「高校生の小遣いか!」ってバカにされます。
「俺だったらそんな金くれない方が逆に嬉しいわ。招集に備えてんのに安く見られてるみたいじゃん」とまで言われます。

私の高校時代のお小遣いは月3000円でしたけど。
それよりゃ勝ってるな。

そして、訓練に招集されて出頭したら
日額8100円
です。
24時間駐屯地内に閉じ込められてこれです。
(届けを出せば外出できることもあります)

仮に、お金に困って予備自衛官を副業にしたいと思っても、このお金目当てでやりたいですか?

そういえば、予備自衛官って高給取りの職業の方もたくさんいるんだよなぁ。
彼ら、彼女らから見ると、4000円とか8100円とかってどういう感じなんだろう。

あ、自衛隊に文句言ってんじゃないですよ。
全部納得してやってますから。

自衛隊は、お金目当てで行くところじゃありません。
そもそもお金になりませんし、もしそのお金ですら必要だと思っても、続かないですよ。
「これだったら別の仕事した方がいいや」ってなりますよ。
自衛官に採用される能力があれば、もっと金になる他の仕事できますよ。

もし、経済的事情「だけ」で自衛官の道を考えている人がいたら、私は「ちょっと待て」と言います。
経済的事情があろうがなかろうが、自衛官というお仕事を理解されて、その上で志願される方は止めませんし応援しますが、経済的事情「だけ」がその理由なら「ちょっと待て」と言います。
まあ、私がいくら言っても志願票出せば試験は受けられますが。

と、ここである事例。
「自衛官であること」に経済的事情が絡んでいる人の事例。

ある人は、高校卒業後に自衛隊に入隊しました。
そして、任期制隊員として数年勤務し、任期満了で退官。
(任期満了とは、ざっくりいうと、契約期間を終えて契約を更新せずにそのまま退職、って感じです。自衛官候補生で入隊すると、任期制隊員になります)
退官後は、自衛隊で貯めたお金で大学に行きました。
法学部で学び、司法試験に合格。
弁護士になりました。
今は、弁護士をしながら予備自衛官をやっています。

実際に、「経済的理由」で入隊する人もいます。
でも、「数ある職業の中からわざわざ自衛隊を選んだ」んです。
もっと稼げる仕事は他にもあるのに、わざわざ自衛隊を選んだんです。
弁護士になれる能力があるなら、自衛隊じゃなくてもっと稼げる職は山ほどあります。
働きながら受験勉強に時間を使える職は山ほどあります。
でも、わざわざ自衛隊を選んだんです。
さらにこの方は、弁護士をしながら予備自衛官に任官し、日当8100円の訓練に出頭してるんです。
弁護士の業務やってた方が、8100円よりはるかに金になります。

防衛大学校に入校した人も、そして入隊した人も、そこに「経済的事情以外の何か」を感じませんか?
きっかけはいろいろあれど、入隊し、勤務を続けていることは「お金」だけが理由じゃないんです。

私だって似たような物です。
私の場合は経済的事情ではなく、「酔っぱらった勢い」がきっかけでした。
たぶん、自衛隊60年の歴史の中でも最低の部類に入ると思います。
部類じゃないな。「最低」そのものか。
経済的事情がきっかけの人と「似たような物」なんて言ったら失礼すぎるな。

でも、「酔っぱらった勢い」は「きっかけ」でしかありません。
酔っぱらった勢いで資料請求ボタンをポチったものの、資料を受け取った翌日はシラフですし(当たり前ですが)、試験を受けるまでの約1カ月間、試験勉強もしました。

「貯金したい」
「公務員になりたい」
「酔っぱらった勢い」
「職安で肩を叩かれた」
「就活セミナーで資料をもらった」

自分の人生に「自衛隊」という選択肢が舞い込んで来るきっかけは、人それぞれです。
私は、その「きっかけ」に恵まれたのが27歳のときでした。
せめてあと1年早かったら、予備自衛官ではなく自衛官になれてたんですが(もし試験に合格して採用されれば、の話ですが)、残念ながら、27歳までその「きっかけ」に出会えませんでした。

だから、26歳までに「きっかけ」に恵まれた方を羨ましく思っています。

でも、ラッキーなことに、「27歳」は予備自衛官補の試験を受けることができる年齢でした。
自衛官にはなれませんでしたが、予備自衛官になることができました。
もっと歳を取っていたらこのラッキーもありませんでした。
だから、27歳のときでも「きっかけ」に恵まれたことに、とても感謝しています。
(「酔った勢いに感謝」ってのもアレですが)

自衛隊という選択肢を持つ「きっかけ」は、人それぞれ、さまざまあります。
でも、それ「だけ」では自衛官、予備自衛官は務まりません。
そこに、きっかけだけでなく「意思」がないと、務まりません。
きっかけだけでも試験に合格し、採用されて「自衛官」という身分になることはできますが、「意思」がなければ「使い物」にはならず、早めのタイミングで辞めることになると思います。

前々回の「徴兵されないか不安なみなさんへ。」では、この「意思」の部分が伝わらない方がたくさんいらっしゃいました。
私の書き方が不親切でした。
不特定多数の方にお伝えするには、本当に不親切な書き方でした。
コメントを頂き、気付かせてくださった方々、本当にありがとうございます。

そこで、今回のテーマに合わせ、前々回の「徴兵されないか不安なみなさんへ。」の補足を

・どんなきっかけでも「自衛官をやる意思」がある場合
・「自衛官をやる意思」がない場合(徴兵や、お金のため「だけ」で志願した場合など)

の違いからお話させてください。

上の方でも書きましたが、韓国のスポーツ選手。
数年前、友人とあるスポーツの国際大会をテレビで見ていたときにも、韓国代表選手の兵役免除の話題が出ていました。
そして、友人にこう言われました。

「兵役ってそんなに嫌なもんなのかな。あなたみたいに好きで自衛隊に行く人もいるのにね」

そして、私はこう答えました。

「いや、私だって兵役に行けって言われたら嫌だ嫌だって言ってるよ。無理やり行かされたら辞めたい辞めたいって言ってるよ。自衛隊でも、自分の意思がなかったらとっくに辞めてるよ。自分で選択したことだから、腹が決まって訓練できるんだよ」

訓練生活では、逃げ出したくなることが多々あります。
予備自衛官の場合は、日々仕事に追われる中、訓練に出頭することをとても苦痛に感じることもあります。
「辞めたい」「辞めようか」、そう考えることは多々あります。
でも、そこを踏みとどまり、「いや、私は辞めない」と決意し、積極的に知識や技能を身につけようという姿勢になれるのは、きっかけがどうあれ、「自分の意思で自衛隊に行った」からなんです。

私は、ひとつの「きっかけ」があり、自分の意思で自衛隊に行きました。
試験を受けるも受けないも、採用された後に断るも断らないも、自分で選択することができました。
今も、「このまま続けるか辞めるか」を自分の自由な意思で決めることができます。
「行く、行かない」「辞める、辞めない」に選択肢を持つことができます。
「辞めたい」と思った時には「じゃあどんな選択をするべきか」と悩み、考えます。

そしてこの「悩み、考える」課程を経たからこそ、「決断」ができるんです。
自分の自由な意思で選択することができるから、自分の進む道を選べるから、悩み、考え、そして「その道で自分がどうあるべきか」と腹が決まるんです。
腹が決まるから、訓練をやり遂げ、知識や技能を習得することができるんです。
「自衛官、予備自衛官であれる」んです。

もし、この「行く、行かない」「辞める、辞めない」の選択肢がなく、「行くしかない」「続けるしかない」という義務であれば、「悩み、考える」という課程を経ることはできません。
悩むまでもなく、考えるまでもなく、「行くしかない」「続けるしかない」のですから。
悩むこと、考えることは時間も労力もかかります。
選択肢がないのなら、わざわざそんなことはしません。

「悩み、考える」という課程を経ることができなければ、「行きたくない」「辞めたい」という消極さを自分で打ち消すことができません。
嫌だ嫌だと思いながら訓練生活を送ることになります。
すると、いつまで経っても腹が決まらず、知識や技能の習得がはかどりません。
さらに、腹が決まらないまま訓練を続ければどこかで大ケガをするか、他人に大ケガをさせるかという事態に繋がってしまいます。
「大ケガ」では済まず、命に関わることになるかもしれません。
自衛隊には、武器や危険物がたくさんありますから。
その扱いを学ばなくてはなりませんから。
ケガや命に関わるヒヤリハットは山ほどあります。

自分の「意思」を持つことができる環境だから、知識や技能を習得することができる。
悩み、考えるから腹が決まり、その知識や技能をより伸ばすことができる。
そして、それが国防の力となる。
志願制を取っている自衛隊では、こうして優秀な隊員が作られています。
(私が優秀な隊員かどうかはさて置き。えーと、がんばります。あ、でも射撃は結構褒められますよ。それだけですが。いや、がんばります)

しかし、世の中には、選択肢がないにも関わらず、自分や周囲の状況を判断して「意思」を持つことができる人も実在します。
徴兵でいえば、「『もし徴兵されたら、俺はやるよ』という人」。
「徴兵されないか不安な人」ではなく、「『日本で徴兵はあって欲しくないと思っている。だけど、そんな危機が日本に訪れたら、俺は徴兵されたい。日本の役に立ちたい』と、既に腹を決めている人」。

前々回のコラムにも、何人かの方がそのようなメッセージをくださいました。
文面から、とても強い方なんだろうなと思いました。
私のような凡人では、なかなかこうはいきません。

ただ、それらの方々が徴兵の覚悟をされていても、前回の「【質問】大戦中の日本や現代の他国のように、今の日本が徴兵をすることはないの?」に書いたように、それが実現されることはないと思います。
が、そのような意思を持っている方がいらっしゃるというのは、同じ国で生きる者として、とても嬉しく、心強いです。

もちろん、この「意思」が求められるのは、なにも自衛隊に限ったことではありません。
他の職業でも、そして部活なんかでも、同様の場合は多々あると思います。
みなさんもいろいろと思い当たりませんか?

また、何人かの方がご指摘くださったように、自衛隊の職種は身体能力の高さが求められるものばかりではありません。
戦闘機パイロットやレンジャーのように、規定の身体能力がなければ、そのための訓練にすら進めないものもありますが、すべてがそうではありません。

自衛隊は、なにからなにまで自分たちでまかなう「自己完結型組織」といわれますが、それゆえに職種は多岐に渡ります。
戦闘を担当する人、後方から戦闘を支援する人、隊員の生活を支える人……など、自衛隊には、どんな人にも活躍の場があります。

前々回の「徴兵されないか不安なみなさんへ。」では、例に上げた職種が身体能力に直結するようなものばかりだったので誤解を与えてしまいました。
申し訳ありません。

ので、「意思」を持った人であれば、自衛官になることはできます。

しかし、後方支援の職種でも、「戦闘員でなくてもいい」というわけではないことは、付け加えさえてください。
例えば、調理担当の隊員。
現在のような平時では、調理担当の隊員は普通のキッチンで調理をしますが、有事の際、戦場では前線から少し離れた後方地域でその作業をするため、野外用の調理器機を使います。
そして、調理担当の隊員も重いヘルメットをかぶり、防弾チョッキを着て、背中に銃を背負ったまま、野菜を切ったり鍋で煮込んだりします。
いつ敵が来るか分かりませんから。
もし来たらお鍋を火にかけっぱなしでも即、戦闘ですから。
今後自衛官を目指す方は、ここのところを理解しておいてください。

……という補足で、「意思があるかないか」の違いが伝わりましたでしょうか。
なにかご質問などありましたら、質問大募集!!よりお送りください。
お手数すみません。

また、職種については、陸上自衛隊限定ですが、

陸上自衛隊職種ランキング その1
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陸上自衛隊職種ランキング その2
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でざっくり解説してますので、興味がありましたらご覧ください。
ほんとにざっくりですが。

また、コメントでは「自衛隊の訓練では洗脳や脅迫(銃を突きつけるなど)が行われているから、徴兵された人でもどんな人でも戦闘員になることができる。人を殺すことだってためらわなくなる」というものもいくつか頂きました。

……洗脳なんてしてませんよ。
脅迫なんてしてませんよ。
当たり前ですが。

もし、自衛隊で「洗脳」や「脅迫」を行っているのなら、いわゆる「自衛官の不祥事」はゼロです。
洗脳も脅迫もできないから、洗脳なんて脅迫なんてしてないから、不祥事が起こるんです。
「悪いことはしちゃいけません」「犯罪はしちゃいけません」なんて子供の頃から散々耳にしてるようなことでも、なくならないんです。

洗脳、脅迫……もしできれば、不祥事はゼロになるだろうなぁと思います。
もしくは、揉み消すか。

残念ながら、自衛隊では洗脳も脅迫も揉み消しもしてないので、みなさんの耳に「不祥事」が届いています。
もちろん、不祥事は限りなくゼロに近づけるよう努力しなければなりませんし、自衛隊も組織として、個人として、そう務めています。

あと、何度も言いますが、戦闘は「任務」です。
ただの人殺しじゃありません。
人間としての健全な理性を持ってなきゃ、「任務」はできません。

このあたりの、「なんか自衛隊って、自衛官って根本的に誤解されてるなぁ」と感じたことは他にもいくつかありましたので、追い追い書いていきたいと思っています。
今回、この流れで書いたらまた長々してしまいますので。

では、話を「経済的志願」に戻します。

現在、自衛官をやってる人は、全員が全員「国防を担いたい!!」ということだけがきっかけで入隊を決めたわけではありません。

「お金がない」
「戦車が好き」
「震災で自衛隊の活躍を見た」

生きていて、「自衛隊」という存在にふと心を向けるきっかけは、人それぞれいろいろあります。
でも、きっかけが何だろうと、その後「自分の意思で選択をする」「自分の意思で考えて、自分で腹を決める」という課程があります。

それを、金だなんだってあれこれ言うのは、失礼じゃないでしょうか。
自衛官に限らず、どんな職業の人でも。

私は、どんなきっかけでも、どんなお仕事でも、がんばって働いている人には、ただひとこと
「ありがとうございます」
と言いたいです。

だいたいね~、演習で地面に穴掘ってその中で1週間寝泊まりしてお風呂にも入れないし水虫は痒いし雨だって降るし朝晩問わず戦闘は始まるしそうなりゃ戦うし眠いししんどいし警戒がぬるいとか怒られるし、ってやってたら陣地移動で大荷物と武器抱えて山ん中10キロとか歩いて穴掘ってまた戦ってまた移動して、ふと山のふもとを見ると街の明かりがキラキラしてて、あそこではみんな家族とか友達とか恋人とかと楽しくやってんだろうな~とか考えちゃって、でも俺は穴掘って敵と戦って自分は臭いし痒いしなんじゃこりゃーーーーー!!!!!
って訓練を繰り返すの、金だけじゃやれませんって。
別に戦争始まらなくても。

もちろん民間企業だってしんどいことは山ほどありますけどね。
私も普段はそっちの世界で働いてますし。
でも、しんどさとお金、環境、諸々考えたら……お金「だけ」で自衛隊……ないなぁ。
それに、お金「だけ」ではやれない仕事がこの世にたくさんあることは、みなさんも知っていますよね?

……と、ここまで言っても
「いーや、自衛隊はその辺も全部だまして若者を連れてくんだ!そして逃がさないんだ!」
と言う方もいらっしゃると思います。

だまさないし、辞めたきゃいつでも辞めれますが。

もし、もし仮にですよ。
もし仮に自衛隊が甘い言葉で若者をだますとします。
そんなことしませんけど、もし仮に甘い言葉で若者をだますとします。

「ほ~ら、自衛隊があなたの学費出してあげるよ~。あなた、大学行きたいんでしょ~?返済?いいのいいのそんなの今考えなくていいんだよ~」
とか
「あなた、お金ないんだって?自衛隊で働かない~?とっても楽しいよ~?給料?大丈夫大丈夫衣食住あるからなにも考えないでおじさんに付いといで~」
とか若者に言ってきたとします。

そして若者が
「本当?!自衛隊が大学のお金出してくれるの?!やったー!」
「衣食住があるの?ラッキー!」
~その後~
「なんだよ!自衛隊に学費出してもらったら、俺自衛隊に入らなきゃいけないんじゃん!だまされた!」
とか、
「誘われて入隊したけど、自衛隊って給料すっげー安いじゃん!全然楽しくないし国防とか言って射撃やらされたし、なんだよこれだまされた!!」
とか、こんなアホな若者今どきいます?

自分のお金を出してくれるところが何なのかも分からずほいほい受け取って、自分の働く場所やお給料がどんななのかも知らずにほいほい付いてって……ってこんなアホな若者今どきいます?

なんだかよく分からない組織ならいざ知らず、知名度だけは抜群の自衛隊ですよ?
正しく理解されてるかどうかはさて置き、良くも悪くも(?)有名な自衛隊ですよ?
こんなアホな若者今どきいます?
今の若者をバカにしすぎです。

もし万が一こんな若者がいたら、自衛隊云々以前に、やたら高い羽毛布団をローンで買わされたりとか、ガラクタみたいな圧力鍋のマルチ商法で借金させられたりとか、きれいなおねえさんに逆ナンされたと思ったら色とりどりのイルカの絵を買わされたりとか、そういう心配をした方が良いです。
なんたら的徴兵制よりもこちらの方が喫緊の課題です。

心配すべきは自衛隊の勧誘方法じゃなくて、この若者の頭の中です。
おかしな新興宗教に入らないように、一から教育してあげてください。

……と、3回に渡って「徴兵されないか不安な若者の、不安を解消する」をテーマにお送りしてきましたこのコラム。
たくさんの方が「安心しました」「不安がなくなりました」「まだ考え中だけど、知らなかったことを知れました」と言ってくださって、とても嬉しく思っています。
しかし、「いーや!まだまだ不安だ!全然不安は解消されてない!」という方も、当然いらっしゃると思います。

人はみんな別々の脳みそを持っていて、みんながみんな同じ考えを持つことは不可能です。
なので、見ず知らずのおばはんに「こうだよ。安心して」といくら言われても、「無理!!」って方はいらっしゃって当然なんですよね。

逆に、このコラムごときで日本の若者全員が
「うおー!!すげー安心したぞ!!」
「不安が一気に消えた!!」
「感動した!!」
「岡田、ありがとう!!」
「お・か・だ!! お・か・だ!!」
ってなる社会の方が嫌ですし。
つーか怖ぇわそんなん。

なので、最後に「みなさんは徴兵されないから安心して」ではなく、「どうしても徴兵されたくない方」のために、「もし万が一みなさんが徴兵されるようなことがあった場合、どうやったらその徴兵を逃れられるか」をお教えします。
そしたら、「徴兵がないっていくら言われても安心できない!」という方も、ひょっとしたら安心してもらえるかもしれないので。

では、こちらをご覧ください。

これは、自衛官候補生(男子)の募集要項です。
この中に、「応募資格」というものがあります。

この応募資格は、自衛官候補生、幹部候補生学校などなど、どの課目を受けるかで少し違うんですが、どの課目にも共通する「応募資格がない人」という項目があります。
それは、

・日本国籍を有しない者
・自衛隊法第38条第1項の規定により自衛隊員となることができない者


です。

「徴兵されたくないから日本国籍を捨てる」というのはやや難がありますので、その次。
「自衛隊法第38条第1項の規定により自衛隊員となることができない者」にはいくつかの「者」があるんですが、その一番最後には、こう書かれています。

日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

もし万万が一でも徴兵されたくない人は、これに該当すればOKです。
というか、もう既に……の方はいませんか?
ちゃんと把握していますか?

もし万万が一徴兵制ができたとしても、「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」は徴兵されることはありません。
そんな前歴のある人に、自衛隊の中に入られたら困りますから。
任務だ戦闘だ国防だの前に、中から破壊されちゃいますから。
どんなに人が足りなくなっても、自衛隊はそんなリスク背負わないですから。

徴兵されないか不安で、なんらかのグループに参加して反対運動をしている若いみなさん……もう既にこの「者」に該当していませんか?
だったら大丈夫です。
あなたは絶っっっっっっっっっ対に「自衛隊の中の人」にはなれません。

この、
「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」
に、自衛隊の応募資格がないことを、「思想の自由に反する」と言う方がたまにいらっしゃいます。

確かに、思想による差別は、許されることではありません。
でも、「思想」ではなく、「行動」には責任が伴います。

なにかムカつくことがあって、「あいつ殺してぇ」と思うのは自由です。
でも、本当に殺しちゃったり、傷害事件を起こすと、それは犯罪です。
その行動に対して「責任」を負わなければなりません。

そして、この規定はなにも自衛隊に限ったことではありません。
他の企業や組織にも、似たような規定があったりします。
公安さんが「むむ?」と思うことをやる人は、どうしてもそうなっちゃうんです。

この
「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者」
になることを、自分の意思で、しっかりと決断した人には、何も言うことはありません。
その人が、「これが自分の生きる道だ」と自らの意思で判断し、決めたのなら、何も言うことはありません。

でも、「意思」を持たずにやっている人はいませんか?
なにかの「きっかけ」だけでやっている人はいませんか?

「意思」がなくても、「行動」には責任が伴いますよ?
あなたのその「行動」は、生涯に渡って責任持てますか?

もし、「意思」を持たずにやっていても、その責任を自分だけが負うのなら、それでもいいとは思います。
しかし、その影響は、自分だけでは留まらない場合もあります。

私は昭和52年生まれです。
同世代の人は、団塊世代の親を持っています。
親世代の中には、高校~大学時代くらいに「学生運動」というものに関わっていた方がいらっしゃいます。
中には、「戦争反対!」と言いながら戦闘してた人たちもいました。

自分の「意思」でやっていた人もいれば、「先輩に誘われて断れなくて」とか「なんとなくノリで」という、きっかけ「だけ」の人もいました。

若い時代にそういう運動をしていた人も、やがて結婚し、子供が生まれました。
そして、その子供が大人になると、あるケースが発生しました。

お父さんやお母さんの「行動」で、子供が望む職に就けない、というものです。
将来は○○の仕事がしたいとずっとそのためにがんばってきたのに、お父さんお母さんの「行動」でそれが叶わなかったという人……私の同世代に、結構いるんです。

子供の頃から夢見て、そのために努力をし、試験勉強を重ねて、そして判明する事実。
自分にはどうしようもできない事実。
急に自分の将来が閉ざされ、突然手探りで別の道を探さねばならないという事実。

その事実を突き付けられた人の挫折感は、想像するに余りあります。
中には、そのことが原因で親と絶縁してしまった人もいます。
「親を恨みたくない」と耐え、しかし「自分の子供にはこんな思いさせたくない」という人もいます。
「しょうがないこと」と割り切るものの、挫折感は拭えないまま生き続ける人もいます。
「もう過ぎたことだから」と笑ってみせながら、でもその笑顔に陰りがあったりします。

誰にでもべらべらしゃべることではないので、そんなに頻繁に聞く話ではありません。
でも、誰にも打ち明けられずに、または親しい限られた人にしか打ち明けられずに、生きている人は少なくありません。

幸い、私は自衛隊に入ることができました。
自衛隊の応募資格がなくなるようなことはしていなかったので、自衛隊に入ることができました。
そして、私だけでなく、親も同様だったおかげで、仕事も自由にできています。

団塊の世代に生まれながら、責任ある行動を取ってくれていた親に、とても感謝しています。
これからも変なことしないでね。
……とか言ったら「こっちのセリフや!」と怒られそうですが。

おばはんの余計なおせっかいかもしれませんが、こういう「事実」があることを、若いみなさんも知っておいてください。
その「事実」が良いことなのか、悪いことなのか、私の思いはありますが、ここでは言いません。
ただ、その「事実」があることを、知っておいてください。

「先輩に言われてついていった」
「お弁当代をくれるから」
「人間関係で断れなかった」

なにかをするとき、「きっかけ」は人それぞれいろいろあると思います。
それが単なる「きっかけ」で、自分の「意思」で熟慮した上であるのなら、それはいいと思います。
自分で判断し、決断したのなら、それがその人の生き方です。
犯罪行為以外なら、思うように生きればいいと思います。

でも、それが何なのか、何につながるのかを、まず知ってください。

自衛官をやるのも、なにかの行動をやるのも、きっかけ「だけ」では絶対にしないでください。
なにかの「きっかけ」があっても、それに流されないでください。
きっかけが何であろうと、その責任はすべて自分に返ってきます。
自分が関わる組織が何なのかをきちんと調べ、人に相談し、考え、自分の「意思」で判断し、それから決断してください。
そして、その後も「悩み、考える」ことを続けてください。

以上です。

前々回に始まった徴兵関連コラムでは、いろんな方のご意見に接して、とても勉強になりました。
そして、「どう伝えたら、日本の将来を担う若者たちに、少しでも安心してもらうことができるだろうか」と、たくさん考えて、私の頭の中がものすごく整理されました。

たくさんの方にご覧頂き、そして応援や批判など、本当にありがとうございました。
なんだか頭の中が慌ただし過ぎでしたが、すごく充実した日々でした。

……ってなんかコラム最終回みたいな書き方しちゃいましたが、まだまだ続きます。

今後とも、楽しんで読んで頂けると嬉しいです。


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■コメント

■ [三枝ママ]

地元図書館で同郷の作家さんの本が目に止まり「お一人様自衛隊」を数年前に読み、わかりやすく感銘を受けました。

いや~~、スッキリしますね❕
自分の気持ちを文字にするのは難しく、モヤモヤと詰まってました(笑)

これからも軽快に発信される事、ご活躍を楽しみにしています\(^^)/

■ [とあるごの辻]

初めてコメントさせて頂きます。
いやスゴイですね!岡田さんの徴兵制の回答、すべて読ませていただきましたが、わかりやすくてビックリ!
下手に小難しい言葉を並べた大手の解説委員や防衛記者、自称自衛隊応援家、国防ライタ-なんかより全然わかりやすくて勉強になりました。
岡田さんはバカじゃないです!
難しいことを難しい言葉だけで言うのは誰でもできます。難解なことをかみ砕くのが難しいわけで、その分野では岡田さんはセンスがあり、なおかつ勉強家だと思います。
今後も読ませて頂きます。

■Re:【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること []

長いです。。
まあ、こうした口調で書いてようやく読者の皆さんは理解できるという事なんでしょうかね。

おっしゃていることはその通りだと思います。

社会学を勉強すればわかりますが、社会には資本家階級と労働者階級というものが常に存在します。要するにルールを決める側の人間とルールに従う人間です。そして技術が発展すればするほど労働者層の中でも低い地位の貧困層は技術についていけなくなり仕事を失い、結果的に格差は広がります。
つまり経済や技術が発展した世の中では常に経済的徴兵制に例として挙げられているような貧困層と呼ばれる階級の人は一定数いるのです。これを改善するには、共産主義のように「富をみんなで平等に分けましょう」という思想が広がり何らかの形で社会の仕組みを変えるような動きが生まれなければいけません。

しかし、貧困層を助けるためにはみなさんの税金を使わないといけないわけですが、皆さん、他人のために税金払いたいと思いますか?もちろん、最低限の生活の確保は必要ですが、お金を稼いでいる人は実力で稼いでいるわけで、競争社会と平等社会のバランスをどう取るかというのが貧困層問題の一つの論点です。

つまり、貧困層の問題は日本社会全体の思想に基づく問題であり、むしろ、自衛隊はそうした貧困層を救う一つの手段を提供しているという意味では全然悪い事だとは思わないんですけどね。メディアはネガティブに捉えすぎ。入りたくなければ、他の選択を取ることだって出来るわけだし、大学行ってまで就職先を見つけられないのなら本人にも問題がありますよ。大学行ったら就職先が見つかる訳じゃない。大学入って自分の将来のために勉強した人がちゃんとそれに見合った就職先を得られるんです。


社会の問題を経済的徴兵制という問題にすり替えるのは良くないですよね。

そんなに社会的弱者を救いたいんだったら、経済的徴兵制とかいって批判する前に、自分で貧困層支援の仕組みを考えてくださいって言いたいですよね。

■Re:【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること [名無しさん]

ここまで言われても分からない左翼の人達っているんでしょうね。
今、反対運動とかしている若い人達は悪い人に騙されている事も多いと思います。
考えもしなかった事について都合のいい証拠を並べて見せられて、本当の事のように教え込まれる。
人間は新しい事を学ぶと快感を感じるからその時の快感、知的満足を得て、正しい事をする事にためらいを感じずにただ正義の主張をしているつもりでも、それは誰かを傷つける行為になる事もあるんだって自覚してほしいです。

■管理人のみ閲覧できます []

このコメントは管理人のみ閲覧できます

■Re:【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること [オールねずみ系]

長い文章なのに読みやすく、すいすい読むことができました。そして平易な文章で書かれているためわかりやすかったです。流石だなと感心させられました。

>>若者の心に寄り添うフリして若者の心を踏みにじるのは辞めてください。

まさしくその通りです。こういう自称若者の味方みたいな人たちに対して感じる、自分では表現しにくかったもやもやというか苛立ちを的確な言葉にしていただいてありがとうございます。すっきりしました。

経済的徴兵というのはねつ造が明らかになった後の従軍慰安婦問題に、苦し紛れで「広義の強制性」を論じだしたのといっしょで牽強付会ですね。それなら私も働きたくないのに経済的理由で働かされてる、という人はあらゆる時代のあらゆる場所にいたはずです。

■Re:【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること [素人の意見ですが]

徴兵制に関しては、中国の火事事件の話も話題にしてはいかがですか。あのような員数合わせの素人が、かけてはいけない水をかけて、もっと大きな災害にした。
徴兵制にできない事例だと思います。
個人的には、今の安保法制より、自衛官の待遇改善、特に命令に従ったときに、免責になることなど、法整備をしてほしいと言う想いはありますが・・・
戦車の道路交通法など、涙の出る国ですね。

■Re:【質問】いわゆる「経済的徴兵制」。~経済的理由で自衛官になること [こうすけ]

いわゆる「経済的徴兵制」を恐れている人たちというのは、うちは貧乏だしうちの子は成績も体格もいいから自衛隊から目をつけられて説得されてその気になって「俺、自衛隊に入る」と言い出さないかしら、と心配しているのではないでしょうか。

そんな人たちに向かって、「経済的徴兵制」は「徴兵」ではなく「志願」である、と言っても納得してもらえないのではないでしょうか。
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―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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