■【質問】「散兵戦の花と散る」覚悟はありますか?

コラム書くネタがないなぁ、さーどうしたもんかと過去に頂いたご質問を読んでたら、まだお答えしてないものを発見しました。
ほったらかしにしてすみません。

こんなうっかりを簡単にやらかす人間なもので、おそらく同様に眠っているご質問がまだまだあるような気がします。
これまでに質問を送ったのに「まだ回答されてねえぞ!」って方がいらっしゃいましたら、お手数ですがしつこく送って頂けると助かります。
ほんとすみません。

新たなご質問も随時募集中ですので、岡田のネタ切れを助けるためにどしどしお寄せください!

さて、ご質問。

【質問】
いつも、このブログを読ませていただいております。
普通科の本領の
1番に「大和男子と生まれなば 散兵戦の花と散れ」とありますが、岡田さん個人としては「散兵戦の花と散る」のは覚悟なさってるのでしょうか? それとも「大和男子」ではないから対象外なのでしょうか?


【回答】
「普通科の本領」ってなんだろう?と思い検索したら、ウィキペディアの「歩兵の本領」に

陸上自衛隊でも歩兵科相当の普通科において「普通科の本領」と曲名や歌詞の一部を変えて歌われ続けられている。

とありました。

おーそうなのか。
知らんかった。
つーかまだ一度も「普通科の本領」なる歌を聞いたことがないんですが……どこで歌われてるんだろう。
一応、予備自衛官としては普通科所属なんですが……すみません。

で、本題。

「散兵戦の花と散る」覚悟はあるかと尋ねられたら、もちろん「あります!!」と言……いたいところですが……難しいですねぇ。

招集されれば自衛官と同様となる身分ですので、万万が一の時には「事に臨んでは危険を顧みず」な自衛官と同じ任務に就く身分ですので、当然男女関係なく「散兵戦の花と散る」覚悟は持たなくてはなりません。

でも、これ、ほんと~~~~~に難しいです。

まだ予備自衛官補として訓練を受けていた、いろんな意味で若かった頃の私だったら、おそらく「散兵戦の花と散る覚悟?もちろんあります!」と即答していたと思います。
まだ、なんにも知らなかったので。

でも、この10年で自衛隊を深く知るにつれ(まだまだ勉強中ですが)、そしてたくさんの自衛官さんたちと接するにつれ、「自らの身を犠牲にしてでも任務を完遂する覚悟」というのはおいそれと持てるものではないと思うようになりました。
同様に、ほいほいと「覚悟はあります!」なんて私みたいな凡人が言っちゃダメなんじゃないかとも。

「無数の敵がこちらに銃を向けて突進してくる」
「息をひそめて隠れてたら戦車の砲がウイーンと振り向き自分をロックオン」
「ミサイルを積んだ敵戦闘機の轟音が近づいてくる」
訓練や取材では、さまざまなシーンに出会います。
もちろん、これらはすべて「想定」の上での訓練。
本当に弾が飛んでくるワケではありません。

でも、めっちゃめちゃ怖いんですよ。
弾が飛んでくる様をリアルに想像すると。
リアルに考えながら動かないと訓練になりませんしね。

敵役の隊員がこちらに銃を向けて実弾を撃っているという「想定」であっても、リアルに真剣に対峙すると、弾が自分の耳をかすめて空気を切る音とか聞こえてくるんですよ。
いや、実際には撃ってませんから聞こえるわけないんですけど、でも聞こえてくるんですよ。
ピューンピューンって。

銃だったり砲だったり、実弾が放たれるのは何度も見てますし、小銃での射撃は自分も毎年やってますし、その威力も、それが飛ぶ様も音も臭いも脳裏に焼き付いています。
その経験が増えれば増えるほど、怖くなります。

それらが飛び交う中に身を置いて、当たればどんな風に自らの肉体が四散するか……ぎゃー怖いーーーーー!!!

もうね、リアルな情景が浮かんできてほんとすげー怖いんですよ。
訓練中でも取材中でも、自分で血の気が引いてるのが分かるんですよ。
血の気が引き過ぎて頭がふわ~っとなって倒れそうになるくらい怖いんですよ。
まあ、死に直面して恐怖を感じるのは当たり前のことなんですが。

でも、私は覚悟を持つべき立場にいます。
自分の意思で、その選択をしました。
自らの身を持って、国民の生命と財産を守るという道を選びました。
嫌ならいつでも辞められるのに、自分の意思で続けています。

なのに、「ぎゃー怖いーーーーー!!!」ってそんなヤツ、国民の皆様が安心して生活できません。
だから、その覚悟を持たなくてはなりません。

人間の本能に抗うことの難しさは、おそらくすべての人が知っていると思います。
空腹に耐えかねれば食べます。
睡眠を摂れない時間が続けば、体が勝手に寝ます。
死に直面すれば怖いです。

人間の持つ本能の中でも、究極ともいうべき「死への恐怖」を克服する……いやいや無理だって!!
ってね、言いたいですよ。本当は。

死にたくないし、殺したくない。
普通の人間なら、当たり前です。

でも、国民の生命と財産を守るためにそれが必要になったら。
やるしかないです。
嫌でも怖くてもやるしかないです。
覚悟がなくても、やるしかないです。

でも覚悟がないままだったら、「任務を遂行する」という目的のためにしなきゃいけない行動が正しくできない確率が上がってしまいます。
どんな簡単なことでも、心が動揺してたら失敗する可能性が高くなります。
だから、任務を確実に遂行するためには、ちゃんと覚悟を持っていなければなりません。
国民の生命と財産がかかってる任務なのでなおさらです。

だから、覚悟を持つ。
でも怖い。
でも、持たなきゃいけない。
でも怖い。
でも、私は予備自衛官で……。

つらつらと書きましたが、これが今の私の正直な気持ちです。
毎日こんな感じです。
過去の戦争、訓練中の殉職、いろんな事例を学び、考えますが、でも彼らの「覚悟」に辿りつけません。
否、彼らが持っていたものは、果たして「覚悟」と呼ぶべきものだったのかどうか。
それすらも分かりません。

でも、考え続けることは止めません。
これからも、予備自衛官を退官するまでは止めません。
覚悟を持つために、なにをするべきか、なにを思うべきか、それとも……。

結論。

【回答】
「散兵戦の花と散る」覚悟はあるかと尋ねられたら、

「自らの身を犠牲にしてでも任務を完遂する覚悟を持っている」と全身で言えるように、日々精進しています。

……という回答が、現在の私です。

訓練でも、日常でも、人生日々是修業中でございます。


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■コメント

■Re:【質問】「散兵戦の花と散る」覚悟はありますか? []

現在83歳の老人。5歳位から兵隊さんの行軍や軍艦、戦車、飛行機など気持ちが高ぶる本を視てきました。子供心にかっこいいと感じていました。小学3年生の時大東亜戦争がはじまり中学受験では
特攻隊にあこがれ予科練に決めていました。国のために命を投げ出すつもりでした。今でも変わりません。すべて教育による影響です。
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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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