■イタリー その1

おととしのクリスマスシーズン。
当時私は京都に住んでいて、御池通をふらふら歩いてたら外人さんに呼び止められた。

「Can you speak English?」

アイキャンノットなので「無理っす」と手のひらを彼に向けてひらひらさせると、「ワタシ、日本語シャベレマス」と返ってきた。
どないやねん。

道でも聞かれんのかと立ち止まったら、彼が歩き続けるので私も歩みを進める。
自然と並んで歩く格好に。

「アナタもワタシもニット帽デスネ~。こうして歩いてるとカップルみたいデスネ~」

なんて答えりゃいいんだ。
まあ、この人も日本で寂しいのかな、クリスマスのイルミネーション満開のこの通りを独りで歩くのは寂しいのかな、と思い「あはは」と上辺の笑みを返す。

「ワタシはイタリアからキマシタ」
「へー、イタリアですか」

どうりでノリがラテン全開。

「ドコマデ行くのデスカ?」
「市役所前です」
「オ~。いいデスネ~」

なにがどういいのか。
市役所前の良さというものがあるのなら是非とも教えて頂きたい。

「市役所前にナニをしに行くのデスカ?」
「待ち合わせ」
「ダレと?」
「彼と」
「オ~。いいデスネ~」

女友達と待ち合わせなのだが、めんどくさいことになったらアレなので嘘をつく。

「カレはドンナ人デスカ?」
「ふつうの人」
「ナニをしてる人?」

つーかなんで尋問受けてんだ。
もうここらで追っ払うべく、「私の彼はおっかないんだぞコラ」的空気を漂わせるために「ラグビー選手」とか「K-1ファイター」とか「漁師」とかいろんな「怖い彼像」を思いめぐらせて咄嗟に出た答えが

「海兵隊」

なんで海兵隊なんだ。
つーかどこに行けば海兵隊さんと出会えるんだ。
まあいいや。

「カイヘイ……タイ……??」

あ、嘘までついて通じてない……。

「海兵隊ってのは……えーと、アーミー」
「オー、アーミー……」

ラテンのノリが一気に下がる。
そして彼は、イタリアのアーミーは乱暴なヤツばかりだ、アーミーは戦争をするから嫌いだ、戦争は良くない、とぼそぼそ語り始めた。
ここで議論しても仕方がないので、私もうんうんと相槌を返す。

会話も盛り下がり、彼は「デハ、ロフトに行きマス。バイバイ」と富小路通を上がって行った。
いや、ロフトは逆方向だろと思ったけど何も言わず見送った。
というか、海兵隊はアーミーじゃなくてマリーンな気がするんだけどどうだろう。


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岡田真理・著
(文藝春秋社)


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志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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