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■忘れられない祝辞

暑さの続く日々ですが、みなさん熱中症対策は万全でしょうか?

甲子園でも予選から選手の熱中症の話題がありましたが、これ、ほんと怖いです。
鍛えてうんぬん根性がどうたらで済む話じゃないですしね。
運動中でも、日常生活でも、みなさんほんとお気をつけください。

私も、真夏の予備自補の訓練中に気を失って倒れて……というエピソードは「いざ志願! おひとりさま自衛隊」にも書きましたが、私の場合は熱中症ではありませんでした。
ちょっと休んですぐに回復したので、なにが原因かまでは調べなかったんですけど、今思えば血圧下がってたんだろうなぁと思います。
たまに低血圧やらかすので。
熱中症の症状とはまったく違って一安心……だったんですが、やはり時期が時期なので、区隊長や班長さんに「熱中症か?!」とえらい心配をお掛けしてしまいました。

でも、同期の女の子はひとり、熱中症になってしまってました。
真夏の戦闘訓練中。
もう体がきつくてきつくて、立ってられなくて、でも周りのみんなもしんどい中がんばってるから弱音は吐けない……と銃にしがみついてなんとか立ってたら、近くにいた班長が「?! こいつヤバい!」と気付いて。

すぐに衛生の車両が来て、医務室へ。
あとでその女の子に聞いたら「なんか電解質がどうのって水を飲まされたよ。めちゃめちゃマズかった」って笑ってましたが。
手当を受けて、ひと晩寝たら回復して訓練にも復帰できてましたが、あともうちょっと遅かったら命に関わってた恐れが……ってくらいの状態だったそうです。
班長が気付いてくれたから良かったものの、あのままガマンし続けてたら……ひょっとしたら……の可能性も。
さっきまで一緒に元気に走り回ってたのに、そんなことになるなんて、ほんと熱中症って怖いなぁと。
「飲まされたのがマズかった」って笑って話せるくらいに回復できて、本当に良かったなぁと。

甲子園の選手も、「暑いくらいで倒れるなんて最近の若いモンはけしからん」みたいに言われちゃうことがありますが、やっぱなっちゃうときはなっちゃうんです。
けしからんとかそういう問題じゃなくて。
どんだけ鍛えてる人でも。
自衛官でも。

私も一度、自衛官がバタバタと倒れる光景を目にしました。
といっても、レンジャーとかそういう特別な訓練の取材じゃなくて。
観客として見に行った、創立記念行事の式典で。

5月のある駐屯地での創立記念行事。
春に入隊したばかりの新米自衛官たちが、初々しく観閲行進をして、ビシッと整列。
そして自治体の首長さんや地域の来賓の方々が次々に祝辞を述べる中……新米自衛官さんたちがあちこちで倒れ始めました。

この日、5月だというのに気温はぐぐんと跳ね上がり、30度を超えていました。
でも5月だから式典の服装は長そでで。
首には観閲行進用のスカーフを巻いてて。
風はまったく吹かず、湿度も異様に高く、お客さんたちも立ち見エリアなのに座りこむ人たちが続出で。
半袖で涼しい格好してる私も立ってるだけでしんどくて。

だらーっとしてていい客とは違い、式典に出席してる自衛官さんはビシッと立ってなきゃいけません。
入隊したばかりの隊員さんは、慣れない自衛隊生活の中、初めての式典、初めての観閲行進でかなりの緊張もあったと思います。
がんばって背筋を伸ばして立ってるけど、でも本当に辛そうで。
やはり倒れる人があちこちで。

密集した列の中にいると、余計に空気が淀みますしね。
私も2回倒れましたが、2回とも列中ででした。

しかし式典は続きます。
来賓の方が壇上に立ち、数分の祝辞。
終わればまた次の来賓の方が数分……と祝辞は続きます。

……そんな中、ある来賓の方が壇上に立ちました。
「創立○○周年おめでとうございます」
そして、辛そうに立っている新隊員たちをぐるっと見まわし
「いつも本当にありがとうございます。以上です!」
と、くるっと背を向けて降壇。
この間、約10秒。

観客席から割れんばかりの拍手が起きました。
私もこれまで、たくさんの祝辞、心に響くいろいろな祝辞を聞きましたが、こんなに隊員のことを気遣った祝辞は初めてでした。

自治体や組織の代表として祝辞を述べる以上、おそらくはかなりの日数や時間、そしてひとりだけではない労力をかけて文面が作られていると思います。
組織によっては、その文面で最終的にゴーとなるまでに、たくさんのハンコが付かれているかもしれません。
そうして、組織の代表として用意された祝辞。
その祝辞をすべてナシにして、「以上!」で壇を降りるのは、とても勇気のいることだったと思います。

しかし、隊員の体を第一に考えて、10秒で壇を降りた来賓の方。

その心意気に、私だけでなくすべての観客が感動していました。
暑さに淀んだグラウンド全体に、急にさわやかな風が吹いたような気がしました。

一生忘れられない、素晴らしい祝辞でした。


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■コメント

■Re:忘れられない祝辞 [けいたろう]

確かに、長い祝辞なんて誰も聞いてないですよね・・・
本音は「早く終われよ」なんですよね。

私が常備だった頃の、艦長交代の際、旧艦長の最後の訓示は「言うことなし。また会おう」でした。ちょっと感動しました。

また、私がお仕えした某高官の離任の挨拶は「今までお疲れ様でした」でした。

真に心に響く言葉は決して長くないんですね。
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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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