■【質問】自衛官は階級呼称をどう思っていますか?

【質問】
自衛隊の方は現在の階級呼称についてどの様に思われているでしょうか?完全に定着しており、話題にもならないのでしょうか。個人的には、国防軍・国軍にするには憲法改正の必要から、大変難しいとは思いますが、階級呼称に関しては憲法改正の必要が無いと聞きましたが。とにかく、早く、普通の国にしたいですね。
1、自衛隊と国防軍の問題
2、階級呼称の問題
についてブログで取り上げて頂ければ幸いです。


【回答】
総選挙関連のニュースもあって、最近「自衛隊は国防軍になるのか否か?!」と話題ですね。
私も「これからどうなるのかなぁ。国防軍になったら私も予備自衛官じゃなくて予備役になるのかなぁ。階級は士長じゃなくて上等兵とかになるんかなぁ。そういや『いざ志願!おひとりさま自衛隊』で自衛隊の階級を一生懸命解説したけど、そうなるとあれも過去の遺物になるなぁ」とかとかいろいろ考えてます。
もっと肝心なこと考えろって話ですが。

「いざ志願!おひとりさま自衛隊」でも書きましたが、私は「自衛隊を〝軍〟に」というのは賛成です。
どういう軍にするのかにも寄りますが、国内だけでなく国外での活動も多い昨今の自衛隊のこと、各国軍の方々と一緒に活動をするときやいざ有事となったときに、取り除ける支障は取り除いとかないといろんな不都合が出てきますし。
「あら不都合だわ」で済ませられることはそれでいいかもしれませんが、自衛官の身の安全はもちろん、なにより日本というひとつの国、そして国民の生命と財産を背負ってる自衛隊のこと、「不都合」がいろんな大事なことに関わってきますから。

で、「自衛隊の方は現在の階級呼称についてどの様に思われているでしょうか?」ですが、特別どうこう聞いて回ったこともなく、なんとなーく私が耳にした程度……という前提でお読みください。

自衛官のうち、比較的年齢が上の方は「1佐、2佐……2尉、3尉よりも、大佐、中佐……中尉、少尉のほうがいい」と思ってらっしゃる方が多いように感じます。
ですが、私くらいの世代から下の方は、「別に1佐、2佐……2尉、3尉でもいいんじゃない?」と思ってる方が多いようです。
「いいんじゃない?」というより、まさに「完全に定着しており、話題にもならない」といった状態でしょうか。
でも、私くらいの世代から下の方でも、自衛隊に関わる以前に、旧軍の書物や外国軍の映画なんかに親しんでた方は「1佐、2佐……2尉、3尉よりも、大佐、中佐……中尉、少尉のほうがいい」という意見が多いようです。
(ほんと、あくまでも私が感じた上で、です)

私個人的には「別に1佐、2佐……2尉、3尉でもいいんじゃない?」派です。
そしてもし、「自衛隊」が「国防軍」とかになって、階級も「大佐、中佐……中尉、少尉」となったら、「あらそうなの」とあっさり受け入れる派です。
すいません。ほんとこだわりがないというか……。

そもそも私、「軍」の階級呼称を知らないんです。
いや、大まかには知ってるんですが、細かいことはよく分かっておらず(旧軍ではこうだったけど、米軍ではこう、英軍では仏軍では……とか)。
人生において、ミリタリー的なものの入り口が自衛隊だったもので、読んでる本に「少佐」とか「軍曹」とか出てくれば、「えーっと、少佐は自衛隊でいう3佐ね。んで軍曹は1曹? 2曹? どっちだ? あれ、2曹は伍長? んでも海自に今〝先任伍長〟っているから……あれ?」といちいちこんがらがってる始末です。
要は、軍の階級呼称に馴染みがないんですね。

以前、元自衛官の60代の方と、旧軍の方々のお墓参りに行ったことがあるのですが、墓標に書かれている「伍長」とか「兵長」という文字を見て、「これは自衛隊でいうところのどの階級ですか?」といちいち聞いてたら、「なんで知らないの? そんなに自衛隊のこと詳しいのに」と驚かれました。
でも、自衛隊に「伍長」とか「兵長」なんて階級ないから知らないんです。
自衛隊に詳しくても。
その方も、「そうか……ジェネレーションギャップなのかなぁ」とおっしゃってましたが、私みたいな人間じゃなくても、現役自衛官でも、若い方は似たような方多いと思います。
(米軍なんかと接点がある方はもちろん年齢関係なくご存知だと思いますが)

ガンダムは「シャア少佐」でしたが、エヴァンゲリオンは「葛城1尉」ですもんね。
世代で階級呼称の馴染みも違うのかもしれません。

年配の方とお話してるとき、「階級は?」と聞かれて「士長です」と答えると、必ずといっていいほど「それは上等兵? 兵長?」とか聞かれるんですが、世代が逆転すると認識も逆転してしまいます。

「自衛隊を〝軍〟に」に賛成な私ですが、「呼称」にはあんまりこだわりがないんです。
その実態が、認識がどうであるかが重要だと思っていて。

もし今後、自衛隊が〝軍〟になったとき、日本語の(自衛隊の)階級呼称が「1佐、2佐……2尉、3尉」でも、英訳だったり、国内・外含めての認識が、他国軍でいう「大佐、中佐……中尉、少尉」だったらそれでも別にいいんじゃないのかな? と思いますし、「自衛隊」という名称が「国防軍」とかじゃなくて「自衛隊」のままでも、英訳や国際的な認識が「Japan Self-Defense Forces」じゃなくて「Japanese Army(Navy、Air Force)」とかで、制度、実態も「軍」であればそれでもいいんじゃないのかな? と。

「自衛隊は軍隊なのか?」とは以前からよく言われてることですが、それに対して「はい、そうです。自衛隊は軍隊です」と国が国内外に向けて宣言すればそれでいいんじゃないかな、と。
自衛隊は「日本国軍」ですよ、と。
もちろん、制度も実態も「軍」として。

んーでもやっぱり呼称は変えないとややこしいのかなぁ。
どうなんだろう。
まあ、そのへんは私なんかじゃなくてちゃんとした方々に決めてもらうとして。

戦後の、ある意味言ってしまえば「いびつな」状況で生まれた自衛隊は、〝軍〟でないことを証明するかのように、いろんな独自の用語が生まれました。
階級呼称に代表されるように、〝軍〟ではないから「兵」じゃなくて「士」、とか、「軍手」じゃなくて「手袋」とか、「行軍」じゃなくて「行進」とか。
昔は「戦車」も「特車」、「戦闘服」も「作業服」と呼ばれていました。
(今も「作業服」という名前のものはありますが)

その中でいろいろと悔しい思いをしてきた歴史を考えれば、「〝自衛隊〟という名称は捨てなければ! 〝軍〟と名が付かなければ!」だったり、「階級も軍式のものに!」という意見もなるほどと思います。

でも、私のような、親も戦後生まれで「戦後」が当たり前の時代に生まれ育ち、「日本の国防を担っているのはまごうかた無き〝自衛隊〟」という世の中で生きてきて、そしてその〝自衛隊〟に誇りを持っている人間にとっては、〝自衛隊〟を全否定されるような意見を聞くと、ちょびっと悲しい気持ちになってしまうというのも正直あります。

「経緯はいろいろあるけど……でも自衛隊だって自衛隊として60年ずっとがんばってきたのに……。そんな完全否定しなくてもいいじゃん……。世界的に見れば特殊なんだろうけど、でもその特殊な状況下で誇りを持ってがんばってきたのに……」的な。
「先輩たちが〝自衛隊〟としてがんばって、国民のみなさんから信頼を得てきたのに、ゼロにするの勿体ないなぁ……。引き継ぎたいなぁ……」的な。
あ、これは私の意見ですよ。
自衛官さんの意見じゃないですよ。

まあ、各々の思いや考えはどうあれ、最優先すべきは「国防」。
「国防」が正しく行われるように、そのための組織が正しく機能するように、いろんなことを含めた制度が素晴らしいものになればいいな、と思います。


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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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