■ズッコケ

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■ズッコケ その1

「ズッコケ」。
それは、ボケをより面白く演出する、素晴らしい表現方法です。

有名なところでは吉本新喜劇。

花月うどんに、チャーリー浜が「ごめんくさーい」と入店してきたら、店内にいる店員・客などは全員ハデに転び、ズッコケます。

井上竜夫が「おじゃましまんにやわ」と入店したときも同様です。
末成由美が「ごめんやしておくれやしてごめんやしー」と入店したときも、島田一の介が高音で「おじゃまします」と入店したときも、安尾信乃助が「おじゃましますか」と入店したときも、桑原和男が「ごめんください」「どなたですか」「向かいの和子です」「お入りください」「ありがとう」と一人二役で入店したときも、出淵誠が「おじゃま……おじゃま……おジャーマンスープレックス!」と入店したときも、あ、もういいですかすいません。

このズッコケ。
簡単そうに見えてなかなか難しく、そしてそれは場の盛り上げを大きく左右するほど重要です。

では、ズッコケの動作。
基本は、前に後ろに横に倒れます。
そのとき、よりアクションが大きく見えるように手を、足を大きく伸ばして倒れます。

そして同時に大きな音をたてることもポイントです。
うどん屋の店員の場合は、手に持ってるお盆を倒れながらカウンターなどにぶつけ、大きな音をたてます。
椅子に座っている人は、椅子から転げ落ちると同時に椅子を倒し、大きな音をたてます。
お盆も持っておらず、椅子にも座っていない人は、横にある机や椅子に倒れかかり、倒す、ずらすなどして大きな音をたてます。
お盆も持っておらず、椅子にも座っておらず、そして近場に机、椅子などの大きな音が望めるものがない場合は、床に倒れるときに手のひらで床を叩くなどして大きな音をたてます。

ここまでして派手にズッコケます。

書いてみると案外簡単そうですが、これは本当に難しいようで、若手座員などのズッコケは見ていて「あーまだまだだなー」と思ってしまいます。
どうしても不自然さが出てしまいます。
いや、偉そうに言いながらやれと言われても私はできないんですが。もちろん。

逆に若手でもこのズッコケがうまい人は、「お、いい新人だなー。名前覚えとこ」と注目します。

ズッコケはそれほど難しく、簡単そうな基本のようでとても重要です。


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■ズッコケ その2

ズッコケは新喜劇やコントだけでなく、漫画でも多用されます。
私の世代でスタンダードな漫画のズッコケは「ズコー」。

出典は忍者ハットリくんです。
ケンイチくんが自身会心の一枚である夢子ちゃんの写真を池の中に落としてしまい途方に暮れていたら、ハットリくんが「ケンイチ氏どうしたでござるか?」とやってきて、よく見たらハットリくんの手には穴のあいた棒状のものが握られていて、ケンイチくんが「さすがハットリくん、水団の術だね!」と大喜びしていたらハットリくんに「いや、これは獅子丸にあげるちくわでござるよ」と言われたときなどに、ケンイチくんが片手と体を一緒に前のめりに倒しながら「ズコー」とズッコケます。

「ズッコケ」るから「ズコー」。
単純明快で、スタンダードにふさわしいズッコケです。
この「ズコー」という言葉、そしてそれに伴うアクションは子供にもマネしやすく、幼い私たちはたんびズコーズコーと言い、倒れるアクションをしていました。

(例)
「あ! 10円玉見っけ!!」
→みんなで駆け寄る
→「なーんだ、ビールのふたじゃん」
→いっせいに「ズコー」

しかし今思うとハットリくんの「ケンイチウジ」という呼び方はなんじゃそらという感じがします。
「ケンイチ」は氏じゃないし。
まあ、ハットリくんはケンイチくんの両親を「パパ上」「ママ上」と呼んでたくらいだから今更そういう問題でもないんでしょうけど。

さて、忍者ハットリくんは「ズコー」でしたが、これがパーマンでは「ヘコー」になります。

星野スミレちゃんのテレビを夢中で見ていたミツ夫がブービーに呼び出され、星野スミレちゃんに後ろ髪を引かれながらコピーロボットの鼻をポチっとしてパーマンセットをくねくねして着替え、急いで集合場所に飛んで行ってみたらパー子、パーやんしかおらず、「あれ? ブービーは?」と聞いたら「バナナの安売りがあるからってスーパーに行っちゃった」と言われたときなどに、パーマンが片手を上方、もう片手を前方に伸ばしながら片足を前に出し、もう片方を軸足に上体を後方にそらしながら「ヘコー」とズッコケます。

そして、オバQでは「オター」になります。

犬に追いかけられたQちゃんを正ちゃんが助けようとしたときにドロンパと神成さんが……あ、もういいかげんウザいですかそうですかすいません。
実は私もそろそろめんどくさいなーと思い始めてたところです。
とにかくハットリくんでは「ズコー」、パーマンでは「ヘコー」とズッコケてたところが、オバQでは「オター」になります。

しかし「オバケのQ太郎」を「オバQ」と略すセンスはなかなかあなどれません。
若者が「意味不明」のことを「イミフ」などと略していると年配者は眉をひそめがちですが、「オバケのQ太郎→オバQ」に比べたら「意味不明→イミフ」なんてかわいいもんじゃないかと思えてきます。

オバキュー
オバキュー
オバキュー

うん、3回言ってみてもやっぱりすごいです。


■ズッコケ その3

「スゴー」「ヘコー」「オター」
以上は藤子不二雄のズッコケです。
「漫画」のズッコケです。

これがアニメーションになるとさらに迫力を増します。
個人的に迫力度ナンバーワンだと思うのは、タツノコプロ「逆転イッパツマン」のズッコケ。
ムンムン、コスイネン、キョカンチンの三悪トリオが「シビビンシビビンシビビンビン!!」と叫びながら、画面を縦横無尽に超高速で飛び回ります。

ありえません。
すごい迫力です。
そしてこれは子供にもマネできません。
まず飛べませんし、アニメのような「画面」という枠がないのでどうあがいても実現不可能です。
最強のズッコケです。
というか、ズッコケていません。飛んでます。

漫画ではなく、アニメーションという地の利を生かし、「飛ぶ」という新たなズッコケのジャンルを築いたタツノコプロ。
さすがです。

しかし世の中には、上には上がいます。
しかもアニメーションではなく、漫画の世界ですごい破壊力のズッコケをやってのける人がいます。

小林よしのり。

私たちの世代では「おぼっちゃまくん」です。
学校帰りに「♪か~ね持ちか~め持ち」と歌いながら元気よく歩いていた記憶があります。

で、小林よしのりマンガのズッコケ表現は「スペペペペッ」。

「スペペペペッ」という擬音だけでも充分破壊力がありますが、さらに「スペペペペッ」とともに両手をぶんぶん振りまわしながら体全体をのけぞるように後ろに倒します。
……だけではありません。
同時に自ら舌を噛み切り、後ろに倒れながら切り離された舌を口から飛び出させます。

圧倒的な破壊力です。
アニメーションでなく、漫画なのに圧倒的な破壊力です。
というか、完全に気がフれています。
シビビンシビビンシビビンビン以上にマネのできるものではありません。

どんな脳みそを持っていたら「そうだ。ズッコケるときには『スペペペペッ』という音をたてながら両手をぶんぶん振りまわして体全体で後ろに倒れよう。そのときは舌を噛み切って飛び出させよう」と思いつくんでしょうか。

小林よしのり、天才すぎます。

ズッコケ。
それはボケを引き立たせるだけでなく、それ自体にも多分にファンタジーを含んだステキな文化です。


プロフィール

okadamari

Author:okadamari

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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