■戦争の有効性

■戦争の有効性

前回、前々回と憲法のお話をしました。

で、私自身は憲法改正に賛成なのか反対なのかというと、以前も書いたように
「どう改正するかによる」
です。
日本の平和につながる改正なら大賛成しますし、そうでないなら大反対します。

ので、現状はすでに発表されている、
自民党の改正草案
http://constitution.jimin.jp/draft/
を読んでいます。

おそらく、今後はこの草案を叩き台として憲法を改正するかどうかが議論されていくでしょうから、まずはこれを読んで、今後の議論を追っかけ、一国民として「改正に賛成か反対か」を判断したいと思っています。

憲法改正に賛成か反対かは「どう改正するかによる」という「どちらでもない」なフラフラした現状ですが、でも「なにがなんでも改正しない!」という意見には反対です。

「憲法はなにがあっても改正しちゃダメだ!」ってご意見の方は、憲法96条

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。



を改正しようって言えばいいのに……と思っています。
「改正しないように改正」ってことになっちゃいますが。

憲法改正は、すればいいってもんでも、なにがなんでもしちゃダメだってもんでもありません。
憲法は、その時代に合わせて適切に改正されるべきものだと思います。

そしてもひとつ。
日本国憲法は、「戦争をこの世界からなくすため」に、改正すべきだという思いがあります。
暴力や殺人がこの世界からなくならないように、おそらく戦争も「この世界からなくなる」ことは、残念ながらないんだとは思いますが……でも、できうる限りゼロに近づけるために、日本国憲法は改正すべきだと思っています。

現在の日本国憲法は、大日本帝国憲法が改正されて、公布されました。
日本が連合国に降伏し、連合国の要求を受け入れ、GHQ監督のもとで作られたのが日本国憲法です。
日本国民が「こういうふうに改正しよう!」と作ったものではありません。

「大日本帝国憲法から改正された日本国憲法」ということで、「日本国憲法は平和の象徴である」という主張があります。
だから、憲法改正には反対……そのお気持ちは理解できます。

日本国憲法の条文は「今後の日本が平和であるように」と作られています。
条文の文言ひとつ一つには、当時、憲法の策定に関わられた方々の苦心が見て取れます。
あの状況下で、ギリギリのラインをよくぞ保ってくださったと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

でも、大日本帝国憲法から日本国憲法への改正は「戦争の象徴」でもあるんです。
戦争が存在し、戦争に負けたから、日本は憲法改正を受け入れたんです。
戦勝国である連合国の要求で、その要求を受け入れた内容にするため憲法改正が行われたんです。

この改正により、「戦争の有効性」が明らかとなってしまいました。
「戦争をし、戦争に勝てば、他国の憲法を操れる」ということを実証してしまいました。
「戦争をすれば、他国の武力を操れる」と世界中に示すことになってしまいました。

日本国憲法が公布されたのは、1947年5月3日。
来年で70年が経ちます。

この70年間、日本はこの憲法を一度も改正しませんでした。
一度も手を着けませんでした。

70年に渡りずっと、日本は自らの憲法を変えないことで、「戦勝国の優位性」「戦争の有効性」を示し続けることになってしまいました。

もちろん、日本は平和を望んでいます。
平和を望んでいない国民はゼロだと思います。
いや、1億人もいればどこかにはいるのかもしれませんが……とりあえず私は、平和を望んでいない人に会ったことはありません。

なのに、日本は70年間ずっと、「戦争をやって戦争に勝てば、こんな支配ができるんだ」ということを世界に示し続けています。
「戦争なんかしちゃいけない!」と言いながら、「戦争したらこんなメリットがあるよ!」と身を持って示し続けています。

これ、世界が見たらどう思うでしょうか。
なんらかの理由で「戦争」という選択肢を考慮している国や組織が、この状況を見たらどう思うでしょうか。

「戦争は大きなリスクがある。でも勝てればこんなふうに他国を操れる」。
……こんなふうに、「日本国憲法」が「戦争のひとつのきっかけ」になってしまわないでしょうか。

日本は、世界に大きな影響力のある国です。
経済的にも、文化的にも、大きな影響を持っています。
2020年には、夏季冬季合わせて4回目のオリンピックが開催されます。
一度もオリンピックを開催したことのない国がたくさんある中で、4度目です。

そんな国が、未だに「戦争の優位性」を示し続けている……これは、「戦争をなくすこと」に大いに反しているのではないでしょうか。

私は、戦争がこの世からなくなって欲しいです。
自衛隊で訓練を受けるたびに、そう思います。
取材で自衛隊の訓練を見るたびに、そう思います。
自分も戦争なんかしたくないし、他の誰にもそんなことさせたくありません。
日本の自衛官でも、他国の軍人でも。
世界中のどんな人でも。

自然災害は「起こる」ことを防げませんが、戦争災害はそうではありません。
人間の力で、極力なくすことができます。

戦争を世界から極力なくす。
そのために、「戦争の有効性を示す、現在の日本国憲法」は改正し、日本自らが作り上げなければならないと考えています。

とはいえ、「どんなふうに改正するか」が一番大事ですが。
憲法はとっても大事ですが、平和の方がもっと大事です。

「戦争の有効性を示す日本国憲法は改正しなければならない」と言いつつ、今後も、日本の平和につながる改正は大賛成しますし、そうでないなら大反対します。



(以下、前回の「憲法改正したら戦争になる?について)

コメント欄、SNSなどでたくさんのご意見を頂きましてありがとうございます。
おひとつお一つにすぐにお応えしたいのですが、すでに頂いているご質問もたくさんありますので、気長にお待ち頂けると嬉しいです。

そして前回のコメント欄で、自民党の憲法改正草案の条文のうち、いくつかの問題点を挙げた上で

人を不勉強と言えるからには当然このような質問を簡単に論破できますよね。このスクショを撮っておきます。もし、このまま闇に葬られたら心の底から大笑いしてネットにさらしてあげましょう。
明確な回答をお願いします



とのご要望をくださった方がいらっしゃいましたが、申し訳ありません、前回の「憲法改正したら戦争になる?」を今一度よくお読みください。

私は「自民党の草案には『戦争を放棄』と書いてあるのに、世の中に『自民党が憲法改正する!戦争が起こる!』というご意見があるのが不思議だ」という疑問から、「憲法改正に賛成の人も、反対の人も、自分で読んで自分で考えましょう」と呼びかけましたが、「自民党の憲法改正草案すべてを肯定している」というワケではありません。

以前も今回も書きましたが、私の憲法改正に対する意見は「どう改正するかによる」です。
まだ一つの党から「草案」しか出ていない段階では、賛成とも反対とも言えません。
そして今後、賛成するにも反対するにも、条文それぞれに賛成・反対は分かれます。
ある条文に賛成でも、別の条文には反対するでしょうし、逆もまた然りです。

自民党の憲法改正草案に対する私の現時点の「感想」も
「ここは賛成だな」
「ここは反対だな」
「ここはどういうことだろう。意図をもう少し深く知りたいな」
「ここは私はこう思うけど、まだよく理解できていないからいろんな方のご意見を知りたいな」
と、条文や文言のひとつ一つによってさまざまです。

ですので、上記コメントを書いてくださった方のご意見も、とても参考になりました。
貴重なご意見をお聞かせくださってありがとうございます。

ですが、前回の文中にも度々書いた上で重ね重ね申し訳ありませんが、「よく読んでください」。

そして、これも以前から言っていますが、私はいわゆる「論破」をするつもりはありません。
人の考えや意見を排除し、自分の「論」を押し付ける気はありません。
ただ、「私はこう思うよ」と伝えて、同様にたくさんの方のご意見を聞きたいだけです。
なので、「論破」をご要望されている方には申し訳ないのですが、そのご期待に応えることはできません。
ご了承ください。

私が願っているのは、日本の平和です。
子供を産み育てるにも、教育を受けるにも、労働環境を整えるにも、豊かな老後を過ごすにも、日本が平和でなければそれらは叶えられません。
すべての人がそれらを実現できるよう、まず日本が平和であって欲しいと願っています。

そのために必要なのは、ひとり一人が「よく知り、よく考える」ことです。
平和を願うだけでなく、そのためにどうすればいいのかを考えることです。
他者の意見を排除したり、議論の勝ち負けを決めたりすることでは、決してありません。

日本が平和であるために、世界から平和を妨げることが少しでもなくなるように……本筋を見失わずに、建設的な議論が交わされることを、心から強く強く望みます。


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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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