■【質問】民間の船員が予備自衛官になるのは「事実上の徴用」?

■【質問】民間の船員が予備自衛官になるのは「事実上の徴用」?

前回の観光案内の続き……の予定だったのですが、ご質問を頂いたので今日はその回答を。

他にもたくさんご質問を頂いているのですが、「これはもうちょっとしっかり調べてから回答したいなぁ」というのが多々あり、お待たせしっぱなしで申し訳ありません。
気長にお待ち頂けると嬉しいです。

では今回のご質問。

【質問】
いつも楽しくブログ拝見しております。
以前徴兵のことで質問しました。
しっかりした内容でよかったです。
徴兵制度が出来る前に戦争が終わる、ごもっともです。
でも、こんな記事がありました。
http://www.huffingtonpost.jp/karin-amamiya/japan-defense_b_9312194.html?utm_hp_ref=japan
詳しく調べたわけではないのでどこまで事実かわかりませんが、徴兵はなくとも徴用はありえるのかな?と思いました。これって実質自衛隊と同じところで作業することになるんですかね?
真理さんの意見が聞きたいです。
急がず待っています。


【回答】
「急がず待っています」のお気遣いが嬉しすぎます。
ありがとうございます。

さて、本題。
ご質問にあるリンク先サイトの内容をこちらで要約してその後回答……というのが親切だと思うのですが、現時点で超長文になりそうな気配がムンムンなのでお手数ですが各自リンク先サイトをお読みください。
今回は「事実上の徴用?」についてなので、お時間がなければ最初の部分だけでも構いませんので。
もちろん、全部読んで頂ける方はぜひお願いします。

ではまず、「予備自衛官補」、「予備自衛官」という制度がどういうものなのか……本コラムではもう既に何度も何度もしつこく書いていますが、今一度。

「予備自衛官」は、非常勤の自衛官です。
なんか大変なことが起きたときだけ招集されて「自衛官」に変身する人たちで、普段はサラリーマンや主婦、学生といった「フツーの人」として生活をしています。

なんでこんな非常勤の自衛官「予備自衛官」という存在がいるのかというと、ざっくり言えば「お金の問題」です。

なにか大変なことが起きたときは、たくさんの数の自衛官が必要です。
ので、万が一に備えて「たくさんの数の自衛官」を普段から置いとけばいいんですが、「たくさんの数の自衛官」にお給料を払うには「たっくさんのお金」が必要になります。
「たっくさんの税金」が必要になります。

でも、そうはいかないですよね。
「必要だから増税増税!はいまた増税!!」ってワケにはいきません。
とはいえ、災害や有事には備えが必要で……。

というのを解決するために、
・普段は必要最低限の数の自衛官を置いておく
・そして、万が一のときは自衛官を「たくさんの数」にするために、「非常勤の自衛官(予備自衛官)」を確保しておく
という制度を取っています。

郵便局でも、普段は必要最低限の数の人たちが雇用されていますが、年賀状のためにたくさんの人が必要になる年末だけ臨時のバイトを募集してたりしますよね。
それと一緒です。

自衛隊の場合は、「はい、大変なことが起きました!たくさんの人が必要です!だから臨時に募集します!」では訓練が間に合わないので、平時の今から予備自衛官を確保して定期的に訓練を続け、必要となったら招集するという仕組みになっています。

そして、自衛官にも予備自衛官にも、いろんな役割があります。

自衛官だと、戦闘機に乗る人、護衛艦に乗る人、戦車に乗る人……と、各個人にそれぞれの役割があります。
乗るだけじゃなくて、それらを整備する役割の人もいます。
乗ったり整備したりする人たちをサポートする役割の人もいます。
日本に飛んでくるミサイルを撃ち落とす人、飛行機が安全に飛べるよう管制をする人、そのための気象予報士、救難救助をする人、レーダーを計測する人、物資を運ぶ人、建物や橋を作る人、パラシュートで降りる人……たくさんの役割があります。
ひとことに「自衛官」といっても、各個人の役割はさまざまです。

予備自衛官も、それぞれ役割が決められています。
・警備をする人
・病気やケガを治す人(お医者さんや看護師さん)
・建物を管理する建築家さん
・ITを担当する技術者さん
・外国の人とコミュニケーションを取る通訳さん
・法的に問題がないかをチェックする弁護士さん
……まだまだありますが、ざっくりとこんな感じの役割があります。

役割を果たすには、それに応じた知識や技能が必要です。
私は予備自衛官ですが、「フランス人との通訳やって」と言われても無理過ぎるので、フランス語ペラペラの予備自衛官の人がその役割を持っています。
私は予備自衛官ですが医療のことはサッパリ分からないので、ケガの治療には普段からお医者さんをしている予備自衛官の人がその役割を持っています。

災害や有事など大変なことが起きたときには「たくさんの自衛官」が必要ですが、ただ数さえ揃えてればいいってもんではありません。
いろんな知識や技能を持っている人が、必要に応じてまんべんなく揃えられています。

「予備自衛官」は、こんな制度です。

で、この「予備自衛官」にはどういう人がなるのかというと
・元自衛官の人
・「予備自衛官補」の訓練を修了した人
です。

ので、元自衛官じゃないフツーのサラリーマンや学生さんが予備自衛官になるためには、まず「予備自衛官補」に志願して、試験に合格後、訓練を受けます。

予備自衛官にはいろんな役割があるので、予備自衛官補では「いろんな人」を募集しています。
「いろんな資格や技能を持った人」を募集しています。

それはどんな資格や技能なのか。
ここは敢えて「ざっくり」ではなく「全部」書きます。
たぶん目が滑ると思うので、ざざーっと見てください。
(もちろん、興味のある方はじっくり見てください)

医師、歯科医師、薬剤師、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床検査技師、看護師、救急救命士、栄養士、准看護師、歯科技工士、英語(に堪能な人。以下、語学は同じ)、ロシア語、朝鮮語、中国語、アラビア語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア、プロダクションエンジニア、第1種情報処理技術者、ソフトウェア開発技術者、ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト、システム運用管理エンジニア、テクニカルエンジニア(ネットワーク、データベース、システム管理、情報セキュリティー、円別途システム)、上級システムアドミニストレータ、情報セキュリティーアドミニストレータ、第2種情報処理技術者、基本情報技術者、システム監査技術者、応用情報技術者、ITストラテジスト、システムアーキテクト、エンベデットシステムスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト、ITサービスマネージャ、第1級総合無線通信士、第2級総合無線通信士、第3級総合無線通信士、第1級陸上無線技術士、第2級陸上無線技術士、AI第1種工事担任者、アナログ第1種工事担任者、DD第1種工事担任者、デジタル第1種工事担任者、AI・DD総合種工事担任者、アナログ・デジタル総合種工事担当者、第1種、第2種又は第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者、1級又は2級建築士、測量士、測量士補、1級又は2級建築機械施工技士、木造建築士、1級又は2級建築施工管理技士、1級又は2級土木施工管理技士、1級又は2級管工事施工管理技士、1級大型又は小型自動車整備士、1級又は2級二輪自動車整備士、2級ガソリン自動車整備士、2級ジーゼル自動車整備士、2級二輪自動車整備士、第1種又は第2種放射線取扱主任者、弁護士、司法書士

以上。

予備自衛官補は2002年から採用がスタートしましたが、最初はこんなにたくさんではありませんでした。
「この資格も必要だね」、「こういう資格を自衛隊でも活かして欲しい」ということで、徐々に増えて今ではこんなにたくさんになりました。

そして、ここに新たに「海技資格」を加えよう……ってのが、今回のおはなしです。

……という、単純なことなんですが。
しかし、ご質問で頂いたリンク先サイトによると、全日本海員組合さんから「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」が発表されたとのこと。

こちらの声明、全日本海員組合さんのサイトに全文がありましたので、転載します。

平成28年1月29日
民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明

全日本海員組合

 一昨年からのいわゆる「機動展開構想」に関する一連の報道を受け、全日本海員組合は、民間船員を予備自衛官として活用することに対し断固反対する旨の声明を発し、様々な対応を図ってきた。しかしながら、防衛省は平成28年度予算案に、海上自衛隊の予備自衛官補として「21名」を採用できるよう盛り込んだ。われわれ船員の声を全く無視した施策が政府の中で具体的に進められてきたことは誠に遺憾である。

 先の太平洋戦争においては、民間船舶や船員の大半が軍事徴用され物資輸送や兵員の輸送などに従事した結果、1万5518隻の民間船舶が撃沈され、6万609人もの船員が犠牲となった。この犠牲者は軍人の死亡比率を大きく上回り、中には14、15歳で徴用された少年船員も含まれている。

 このような悲劇を二度と繰り返してはならないということは、われわれ船員に限らず、国民全員が認識を一にするところである。
 政府が当事者の声を全く聞くことなく、民間人である船員を予備自衛官補として活用できる制度を創設することは、「事実上の徴用」につながるものと言わざるを得ない。このような政府の姿勢は、戦後われわれが「戦争の被害者にも加害者にもならない」を合言葉に海員不戦の誓いを立て、希求してきた恒久的平和を否定するものであり、断じて許されるものではない。

 全日本海員組合は、民間人である船員を予備自衛官補とすることに断固反対し、今後あらゆる活動を展開していくことを表明する。

以上



うーん、なんでだろう……。
なんで全日本海員組合さんだけからこういう声明が発表されるんだろう……。

これまで、2002年からずーっとお医者さんの予備自衛官補採用は続けられてるんですが、全国医師協同組合連合会さんから反対声明が発表されたというお話はとんと聞きません。
弁護士さんの予備自衛官補採用は3~4年くらい前に始まったと記憶しているんですが、全国弁護士協同組合連合会さんから反対声明が発表されたというお話はとんと聞きません。
全国薬剤師協同組合連合会さんも全国英語通訳協同組合連合会さんも全国エンベデットシステムスペシャリスト協同組合連合会さんも……そんな名前の組合があるのかどうかも知らずにテキトーに書いてますが、そんなお話はとんと聞きません。

というか、職業の枠を超えた労働者たちの全国組織であろう全国労働組合総連合さんですらそんなお話はとんと聞きません。
今、全労連さんのサイトを見たら、全日本海員組合さんどころじゃなく派手な文字でデカデカと「戦争法廃止」とか「憲法闘争」とか書かれていましたが、「民間労働者を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」というのは見当たりません。

予備自衛官補って、上記の資格や技能を持った人じゃなくても志願できるんですよ。
私はそのタイプです。
上記資格や技能を持った人は「技能区分」、持っていない人は「一般区分」と分けられていて、私は「一般区分」です。
全国のたくさんの労働者さんたちがもうすでに、「技能区分」や「一般区分」として予備自衛官補に志願し、訓練を修了して予備自衛官をやっています。
みなさん、自ら志願して、やっすいやっすい手当てで予備自衛官をやっています。

あ、予備自衛官手当てが安いって書いちゃいましたが、私は文句ないですからね。
好きでやってますから。
でも、いろんな資格や技能を持っていらっしゃる方々の民間でのお給料を考えたら、予備自衛官の手当てなんて安過ぎだよなぁ……まあ、みなさんお金じゃなくて国防のために予備自衛官を続けてるんでしょうけど。

ただひとつ、これまでの技能区分の予備自衛官と、海技資格の予備自衛官とで大きく違う点があります。
それは、「入札」が絡んでくるということです。

詳しくはこちら。

民間船舶の運航・管理事業に関する実施方針
http://www.mod.go.jp/j/procurement/chotatsu/ship/h27_06_jisshihoshin.html

読むのが面倒くさくなっちゃった方のためにざっくりご説明。&解説。

「お金の問題があるので、予備自衛官という制度を取っている」と書きましたが、自衛隊は他にもいろんなところでお金を安く抑えるようにがんばっています。

例えば、食堂。
自衛隊の駐屯地や基地にはたくさんの人がいます。
たくさんの人がごはんを食べられるように、自衛隊には食堂があります。
そして、その食堂でごはんを作ったり食器を洗ったり、食材を用意している人たちには、自衛官じゃない方々もたくさんいます。

これは、人件費や食費を安く抑えるためです。
必要な時間だけパートのおばちゃんたちに来てもらって、人件費を抑えています。
食品業界に精通した専門の業者さんにお買い得な食材を納入してもらって、食費を抑えています。

私も予備自衛官の訓練中は食堂でごはんを頂いていますが、いつも美味しいごはんを作ってくれて、食器をきれいに洗ってくれているおばちゃんたちには大感謝です。
「お疲れさま~」とかのひと声も嬉しくて。
いつも本当にありがとうございます。

あ、「パートのおばちゃん」とか限定した書き方をしましたが、おばちゃんだけでなくおじちゃんもいます。
おにいさんもおねえさんもいます。
みのもんた的な言い方では「おじょうさん」かもしれません。
そしてパートじゃなくて正社員の人もいると思います。
食堂でお仕事してる人たちに「あなたは正規ですか?非正規ですか?」とか聞いたことないので細かいことは分かりません。すみません。

もちろん、自衛官が自分たちで食材を買ってきたり、ごはんを作ったり……というのも、やろうと思えばできます。
自衛隊の中で自己完結してる方がなにかと便利なのですが、そうすると食堂の運営のために自衛官を増やさなければならなくなってしまいます。
するとやっぱりお金がかかるので、少しでも安く抑えるためにこういう仕組みにしています。

護衛艦や潜水艦といった特殊なところにある食堂は、調理する人は全員自衛官だったりしますが。
海上や海中にはパートのおばちゃんたち通えないですからね。
あと、山の中で2週間寝泊まりして訓練……なんてときも、自衛官がごはんを作っています。

パートのおばちゃんたちを雇用したり、食材を納入しているのは、民間会社の業者さんです。
不正が起こらないように、業者さんは入札で決まります。

自衛隊には、こんな感じの「入札」がたくさんあります。

駐屯地・基地内には自動販売機がありますが、これも入札で決められた業者さんが設置して、定期的にガシャーンガシャーンと入れてくれています。
パソコンや机、椅子なんかの備品も、入札で決められた業者さんに手配してもらっています。
カーペットの張り替え、パンフレットの印刷、ネットワークケーブルの敷設……いろんなことを業者さんにお願いしていて、そのために毎回入札が行われます。

お金がたくさんあれば自衛官だけで全部やれないこともないんですが、税金アゲアゲになったら大変なので、入札で決められた業者さんにお手伝いをしてもらっています。

業者さんにお願いするのは、駐屯地・基地内のことだけではありません。
大変なことが起こったときには素早く大量の物資を運べるよう、民間の運輸会社に協力をしてもらうことになっています。
戦車を早くたくさん移動させなきゃいけなくなったら、鉄道会社にも協力をしてもらうことになっています。
北海道から九州までたくさんの戦車を運ぶ……なんてときには、船舶会社に協力してもらって船で運ぶこともあります。

これらの会社もすべて、入札で決まります。
入札への参加は、強制されるものではありません。
各企業が「入札に参加するかどうか」を選択し、「入札に参加しよう」という意思を持って初めてなされるものです。
嫌だったら入札に参加しなくても全然問題ありません。

入札に参加し、落札した会社は、災害や有事が起こってしまったら必要に応じて自衛隊に協力します。
そして、いざというときに問題なくお仕事が進むように、定期的に自衛隊と協力する会社が一緒に訓練をしています。

学校や会社でも「避難訓練」とか「防災訓練」とかやりますよね。
学校で火事が起こったらこうやって避難しよう、って定期的に訓練しますよね。
みんな安全に避難できるように。

同じように、災害や有事に備えて、自衛隊と協力する会社は一緒に訓練をしています。
みなさんおなじみのあの宅配便の会社が自衛隊と輸送の訓練をやったり、通勤通学で使う線路を戦車が走る訓練をしたり(正確には戦車が線路を自走するんじゃなくて、戦車を「貨物」として鉄道輸送するんですが)、港と港を結ぶフェリーで戦車を運ぶ訓練なんかをしています。

そして災害や有事が起こってしまったら、訓練でやったように、必要に応じて自衛隊と協力する会社が一緒にお仕事をします。

これらも、お金がたくさんあれば自衛隊だけでできなくはありません。
輸送を担当する部隊にもっとたくさんの自衛官がいて、そのための車や飛行機がたくさんあれば、自衛隊だけで物資の輸送はできます。
自衛隊が線路を作って、そのための貨物車両を持つことができれば、自衛隊だけで戦車を運べます。
輸送艦をもっとたくさん持つことができれば、民間の船じゃなくて自衛隊だけでなんでも運べます。

でもこれ、全部自衛隊だけでやろうとすると、どれだけのお金が必要なのか……。
ガッツーンと税金を上げれば、民間の会社に協力してもらわなくても自衛隊だけでできるようになるんでしょうが……そうはいかないのが現実です。

なので、民間企業にご協力をしてもらうという制度を取っています。

うーん、「ざっくりご説明」とか言っておきながら長くなってしまいました。
とはいえ、これでも本当に「ざっくり」なので、詳しくは上記にも書いた「民間船舶の運航・管理事業に関する実施方針」をご覧ください。

ここまでをまとめると、
・災害や有事に備えて予備自衛官がいる
・予備自衛官にはいろんな資格や技能を持った人がいて、「海技資格」もそのひとつに加えようというのが今回のおはなし
・災害や有事には、民間の会社も協力する
・協力する会社は入札で決まる
って感じです。

ご質問のリンク先サイトでは、海技資格の予備自衛官を活用することや、民間企業が自衛隊に協力することに対し
「背景にあるのは、やはり安保関連法だ」
と、やたらと強気に断定されていますが、「民間企業が自衛隊に協力する」制度は安保関連法云々とか集団的自衛権云々の以前からあり、これまでもずっと訓練が行われてきました。

「海技資格の予備自衛官補」は今回が初めてですが、自衛隊創設の1954年から海上自衛隊にも予備自衛官制度はありますし、艦艇勤務経験があって海技資格を持ってる人がもうすでに予備自衛官にいますし、「予備自衛官補の技能区分に応募できる資格や技能」が2002年から徐々に増えてきていて、今回もその一環だと考えるほうが自然だと思うんですよねぇ。

もちろん、制度の改正や運用の変更なんかは、その時々の国防情勢に合わせてなされるものですが。
今後も、情勢が変わればそれらも変わって当たり前です。
特に予備自衛官補は採用が始まってまだ14年ですからね。
改善することはいろいろあるんじゃないかなーと思います。

なので、リンク先サイトの文章を校正すると
「背景にあるのは、やはり安保関連法だ」
ではなく、
「背景にあるのは、やはり国防の必要性だ」
といった感じでしょうか。
いや、なにが背景なのかの本当のところは、制度や運用を担当する方に聞かないと分かりませんが。

まあでも、「○○法ができたから○○制度を無理やり作る」のではなくて、「こういう国防情勢だから○○法や○○制度ができる」んですからね。
自衛隊は法のために動いてるんじゃありません。
「国防のために、国民の生命・財産・文化を守るために自衛隊があり、その運用が法や制度に基づいている」というただそれだけのことです。

で、全日本海員組合さんから発表された「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」。

あ、今回も既に長文ですので、一気に読んでしまおうとせず続きはまた明日にしてくださいね。
まだまだ続きますから。
書いてる私も結構疲れてきましたから。
でも続けます。

全日本海員組合さんから発表された「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」を読んでいて、ひょっとしたらこういうことを心配してるのかな?それで断固反対してるのかな?と思ったことがあります。
声明文を読む限りでは、ただ単に「予備自衛官補の技能募集に海技資格を加える」ことに断固反対されているようなのですが、「ひょっとしたらこういうこと?」と思ったことがあります。

それは、「海技資格技能の予備自衛官補への志願」と「勤務している会社の入札」が関わることに関連しています。

上のほうで、現在「予備自衛官補で技能区分募集」をしている、お医者さんとか英語通訳さんとか弁護士さんとかの資格・技能をつらつら載せたのはご記憶に新しい……長文だから新しくはないかな、まあちょっとくらいはご記憶にあるかと思います。

通訳さん、弁護士さんなんかの予備自衛官は、身ひとつでお仕事ができます。
お医者さんとかだと機器を使うこともあるでしょうが、それらは自衛隊のものを使います。
ので、現状の技能区分に指定されている資格や技能の予備自衛官は、災害や有事のときに招集された場合、身ひとつで自衛隊に行けばそれでOKです。
(身ひとつといっても、いろいろ持ってくものはありますが)

でも、「民間船舶の運航・管理事業に関する実施方針」にある資料によると、海技資格の予備自衛官の場合、そうではない場面も想定されています。

それは、
「落札した船舶会社は、海技資格を持つ予備自衛官の船員も含めて、自衛隊に協力する」
というもの。

まあ、そりゃそうですよね。
船だけ自衛隊に協力しても、それを動かす人がいないとどうにもなりませんから。

こちらの資料には、
「防衛出動なんかのときには、落札会社の船を予備自衛官や自衛官が運航します」
ということが書かれています。
つまり、「有事のときは、落札会社の船でも身分が自衛官である人以外は乗せません」ということです。
(ほんとざっくり要約してるので、詳しくは資料をご覧ください)

もちろん、海上の船だけじゃなく、陸上での車両輸送や鉄道輸送の会社が自衛隊に協力する場合にも、車両や鉄道を動かす人は必要ですし、その人は予備自衛官であるに越したことはありません。
なんだったら、全員が自衛官であるに越したことはありませんし、民間企業の車両や鉄道、船に協力してもらわなくても、自衛隊の車両や鉄道、船がたくさんあればすべて解決します。

でも、「お金の問題」があります。
お金の問題があるので、「最低限、どこまではお金を使ってでもやらなきゃいけないか」を見極めなければなりません。

そう考えると、「海上」という特性から
「最低限、有事のときは船に民間人は乗せられない。自衛官と予備自衛官でやる」
と。

有事の際は、船だけ会社に協力してもらって乗員は全員、自衛官か予備自衛官。

一方、その乗員には普段からその船に乗ってて船のことを良く知っているスタッフが含まれている必要があります。
日本が大変なことに巻き込まれてすぐに対処しなきゃいけないときに、
「俺が乗るのはこの船?オッケ~!えーと、どこになにがあるの?誰か知ってる?えー誰も知らないの~?」
とか言ってる場合じゃありません。
やっぱり、その船を普段から乗ってる人が必要です。
(すみません、会話はだいぶ大袈裟に書きました。さすがに自衛隊もこんなマヌケではありませんのでご安心ください。訓練もやりますし)

ということで、乗員が
・有事のとき、身分が「自衛官」である人
・落札した会社の船に普段から乗ってる人
を満たすためには、
「落札した船舶会社は、海技資格を持つ予備自衛官の船員も含めて、自衛隊に協力する」
という方法しかないんじゃないかなーと思います。

あ、この辺は資料を読んで私が勝手に思い巡らした考えです。
この資料のご担当者に聞いたら「違う、そうじゃない」と言われるかもしれませんが。
んでもそんなに外れてないと思うんですよねー。どうだろう。

前述の「自衛隊の食堂の入札」でも、「ここに配置する人は調理師免許を持ってる人じゃないとダメですよ」といった同様の規定があります。
他の入札でも、やはり該当する資格を保有したスタッフが必須だったりします。

その「資格」に当たるのが、今回の場合は「海技資格技能で採用されている予備自衛官」なんです。
「この資格持ってれば就職に有利!」って話はよく聞きますが、予備自衛官もそれに含まれるなんてことになるのかなぁ……まあ、もしそうなっても私は海技資格持ってないので恩恵ゼロですが。

でも、予備自衛官の場合は「なんかあって招集されたら自衛官という身分になる」ので、「資格」よりはハードル高いんですかね。
いろんな資格と比べると難易度は別にそこまで……ですが、やっぱいろいろ考えちゃいますよね。

まあとにかく、現段階の資料によると、「よし、自衛隊に協力しよう」と入札に参加する会社は、「海技資格技能で採用されている予備自衛官」である船員が必要となります。
入札予定企業には、「その船員をどうするか?」という問題が出てきます。

では、その解決策案。
(あくまでも私がパッと思いついただけの「案」です)

1.既に雇用している船員が予備自衛官補に志願し、訓練を受けて予備自衛官になる
2.元海上自衛官の船員が予備自衛官になる
3.元海上自衛官を船員として新たに雇用し、その人が予備自衛官になる
4.これから海上自衛隊を退職し、退職と同時に予備自衛官に任官する人を船員として雇用する

「事実上の徴用」と反対されている方は、たぶん1から派生しかねないことを心配してるんじゃないかなーと思っています。
いや、全日本海員組合さんの声明文を読む限りでは、ただ単に「予備自衛官補の技能募集に海技資格を加える」ことに断固反対されているようなのですが、ひょっとしたらこれを「事実上の徴用」と心配されてるのかなーと。
断固反対声明文では「船舶会社が自衛隊に協力すること」とか、「入札に参加すること」にはまったく反対されていないのですが、ひょっとしたらこれを「事実上の徴用」と心配されてるのかなーと。

ある日、会社の上司に呼び出されて
「今度ウチの元請け会社が入札に参加するから、予備自衛官補に応募して。んで訓練受けて予備自衛官になってね。災害とか有事が起こったら自衛官としてがんばってね。じゃないとウチの会社がお仕事もらえなくなっちゃうから。あ、嫌だったら会社辞めてもいいんだよ。そういえばキミんとこ娘が生まれたばかりなんだってね~娘ってかわいいよね~美味しいごはんも食べさせたいよね~会社辞めてる場合じゃないよね~。んじゃヨロシク」
とかそんな感じの。

そりゃ、「勘弁してくれーーーーーー!!!!!!」ですよね。
いや、「実は子供の頃は自衛官になりたいって思ってたんですよ。結局民間企業を選びましたけど。でも会社を辞めないで自衛隊の仕事ができるなら喜んでやります!」って人もいるかもしれません。
そういう船員さんがいる場合は心配いらないと思います。
でも、そんな人ばかりではないですよね。

となると、
「なにそれ……自衛隊で訓練なんかやりたくないんだけど……招集とか絶対嫌なんだけど……でも上司の命令だから逆らえない……断ったら会社クビになる……娘が生まれたばかりなのに家族を路頭に迷わせるワケには……でも予備自衛官なんかまっぴらごめんだ……ああでも家族が……」
って、嫌で嫌でしょうがないのに、予備自衛官補に応募「させられる」事態にならないとも限りません。

船舶会社がこんなブラック企業ばかりだとは思いませんが、こういう事態は絶対に避けなければなりません。
私もそんな事態が起こるのは断固反対です。
もし入札に関わってそんなことが起きたら、全日本海員組合さんのように声明を発表したいです。

でも、もしももしも万が一、「会社から予備自衛官補への応募を強要されて拒めない」なんてことがあったら……そんなことはあって欲しくありませんが、念のため助言。

予備自衛官補になりたくない場合は、受験時、適性検査の解答用紙を白紙で出してください。
そうすれば不合格になります。
予備自衛官補にならずに済みます。

それでもまだ不安だったら、小論文試験で「強要されて受験したけど、予備自衛官補になる気は一切ない」旨を書いて提出してください。
視力検査聴力検査では「見えません聞こえません」を貫いてもいいですし、肺活量検査では「ふー」とため息程度しか吐かなくてもいいです。

念のために、面接で「予備自衛官補になる気はない」と伝えても構いません。
面接官、それで怒ったりしませんから。
「なるほど、分かりました」って不合格にしますから。
予備自衛官やりたくない人、招集に応じたくない人は自衛隊側も採用したくないですから。
災害とか有事で失敗につながるような事態は避けなきゃダメですから。
自衛隊はちゃんと不合格にしますから。

で、試験後は会社に「合格できたと思うんですけど……いやでも受験者のレベル高そうだったんで不安ですねぇ」とかなんとか言っといて、不合格通知が届いたら「力不足でした」と頭下げて心の中であっかんべーでもしといてください。
さらに、試験前はやる気満々で「予備自衛官補、ぜひやりたいです!!」とかって試験勉強してるフリでも見せとけばカンペキです。

試験の点数や面接の内容を、自衛隊側が会社に漏らすことはありません。
私も何度か「実際どうなんすか?」って聞いたことありますが、絶対に教えてくれませんから。
あ、私は志願者さんたちに何かアドバイスができれば……と思って聞いたんですけどね。
よく「どうしたら合格できるんですか?どうしたら採用されるんですか?」というご質問を頂くので、「小論文はこう書くといいよ。面接ではこうするといいよ」ってなにかお伝えしたいんですが、自衛隊さんは絶対に教えてくれませんから。
私が受けた試験の自分の点数ですら、聞いても「合格して採用されてるんだからいいじゃないですか(笑)」的にはぐらかされちゃいますから。
入札がからむ会社の場合は、金銭の利害が発生するんですからなおさらです。

※「どうすれば合格できるのか、採用されるのか」は、問題のない範囲でアドバイスを受けることはできますので、志願したい方は最寄りの「自衛隊募集案内所」を訪ねてみてください。

※「どうすれば不合格になれるのか」は、さすがに自衛隊募集案内所でも対応しかねるような気がしますので、そのときは私にメールしてください。できる限りのアドバイスをします。普段、自衛隊に入隊したい人を応援してる私ですが、同様に「自衛隊に入隊したくない」という人も応援しますので。応援というか、望んでないことは誰もやりたくないでしょうから、そこは全力でご協力します。

あと、自衛官も予備自衛官補も、採用基準は謎過ぎです。
「試験」というと、高校や大学の偏差値的なものを思い浮かべがちですが、自衛隊の採用試験ではいわゆる「ええ高校」「ええ大学」の人がすこーんと落ちたりします。
いわゆる「有名企業」の内定を取ってる人が、自衛隊だけ落ちたりします。
知人でも「ええ?なんで??」という人が複数不合格になっています。
そしてなぜか私みたいな人間が合格して採用されてます。
なんか独特の採用基準があるんじゃないかなーと思っています。
(もちろん、ええ高校、ええ大学、ええ企業の方も合格、採用されてますが。ナニ基準なのか、ほんと謎です)

なので、企業で立派にお勤めをされている方が予備自衛官補試験で不合格になっても、気にしないでください。
「立派にお勤めをしている」ということが、あなたの本来の姿です。
自衛隊がおかしいんです。
あ、いや「おかしい」は言い過ぎですすみません。
まあ、「独特だ」ということで。

というかそもそも、会社から「予備自衛官補になれ」と強要されて拒めないような事態は、明らかなパワハラです。
許されない「不正」です。
職場でのハラスメント問題には、組合も積極的に取り組んでいることと思います。
ぜひ、ハラスメントなどの不正が発生しないように務めてください。

そして、入札に関連してパワハラが起こるような程度のコンプライアンスしか徹底されていない企業は、落札できないんじゃないでしょうか。
「船員が予備自衛官補になること」でこんな話題になっているのなら、落札企業の選定もより慎重になると思います。
もし入札に参加するのなら、「予備自衛官補になること」を絶対に強要してはいけません。
自社内でも請負会社内でも、そして会社同士の受注関係でも、「強要した時点で落札できる望みはない」と、ご担当の方々は肝に銘じておいてください。

あと、「強要、パワハラをしなければ海技資格予備自衛官を確保できない」ような企業は入札に参加しちゃダメだと思うんです。
そんなんじゃ業務は遂行できませんし。
入札って絶対参加しなきゃいけないことじゃないですからね。
「選択」して「希望」してやることですからね。
企業には「利益を上げる」ことが欠かせませんが、強要やパワハラなんて利益以前の問題ですからね。
どの企業の方々もいろいろと大変だとは思いますが、ダメなことをして利益を上げるのは、「不正」ですからね。
当たり前ですが。

……と、なんかエラそうにすみません。
いや、「予備自衛官補になんか応募したくないのに強要される」という事態を想像したらなんかヒートアップしてしまいまして……。
予備自衛官補に限らず、そんな強要、パワハラは絶対に許されることではありませんから。
絶対に防ぎたいですから。
私の知ってる船舶関係の会社はものすごく信頼できる方々ばかりなので、こんな書き方をするのは本当に心苦しいのですが……。
「もしももしも万が一」の想像ですので、すみません、お許しください。

ただ、もし「予備自衛官補に志願したい」という希望をお持ちの従業員がいらっしゃったら、企業はぜひご協力頂けたらと思います。
これは入札に関係なく、ぜひ。
「予備自衛官補なんか許さんぞ!お前は軍国主義者なのかこの人殺し!!」というのも、それはそれでパワハラですし。
なんかパワハラどころじゃない差別的な臭いがしますが。

もちろん、予備自衛官補、予備自衛官となれば、訓練出頭などで業務に支障をきたすこともありますから、「申し訳ないが、今回は志願を諦めて欲しい」って場合もあると思いますが。
志願者本人と企業がよく話し合い、納得した上で、で。

あと、ほとんどの企業に副業禁止の規定があると思いますが、「予備自衛官補、予備自衛官は副業と見なさない」としているところも多いです。
私も以前は副業禁止の就業規則がある会社で働いてましたが、予備自衛官を続けることを認めてもらっていました。

また、特殊な規定で「勤務先以外からの収入は一切認められない」という企業・組織の場合は、自衛隊からの手当てを拒否する「無報酬兼業」という制度もあります。

ので、「副業」「兼業」がネックになって予備自衛官補の志願をためらっている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、最寄りの自衛隊募集案内所へご相談ください。
自衛隊さんとこに行くのが敷居高かったら、私にメールしてくださいね。

・従業員が予備自衛官補に志願したい場合は、会社として可能な限り協力する
・もし予備自衛官補への応募を従業員に打診したいのであれば、従業員が「嫌だ」と気軽に言える状況を必ず作る
・強要、パワハラの厳禁徹底!
ぜひともこの3点をよろしくお願い申し上げます。

……で。
全日本海員組合さんから発表された「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」。

私の想像していることが当たっていればお気持ちは分からなくもないのですが、全日本海員組合さんが断固反対すべきは
「民間船員を予備自衛官補とすること」
ではなく、
「入札に関連した、船員への予備自衛官補応募の強要」
だと思うんです。

もちろん、入札に関連しなくても、予備自衛官補関係なくても、「職場での強要、パワハラ」は断固反対すべきですし、それはわざわざ声明を発表しなくても、全日本海員組合さんは断固反対のお考えだと思いますが。

「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対する声明」
だったら、「俺、予備自衛官補に志願したいのになぁ」って船員さんが気の毒過ぎます。
「数ある職業の中で船員だけは予備自衛官補に断固として応募させない」というのも、それはまたおかしな話ですし。

全日本海員組合さんとしては、「民間船員を予備自衛官補とすることに断固反対」なのかもしれませんが、日本人の船員さん全員が同じ考えではないですよね?
少なくとも私の知ってる限り……と、その根拠を書きたいのですが、「なに?組合に従わないヤツがいるのか?!誰だ?!」みたいなことになったら大変なので、やめときます。

でも、国防の必要性を認識して、自身も貢献したいと思っていらっしゃる方……日本人の中で「船員さん」にだけは一人もいないってことはあり得ないですよね?
もし仮にそうなら、「入札に参加する船舶会社」は存在しないと思いますし。
もちろん、業務内容や対価などの理由で「今回は入札を見送ろう」ってこともあるでしょうけど。

不正が懸念されるからこの制度は……というお気持ちは理解できます。
でも、不正の懸念から制度そのものをNGにしてたら、なんにもできません。

「事故の懸念があるから、船の運用は禁止しよう」じゃ、たくさんの人が困りますよね。
特に、資源を輸入して製品を輸出することで経済が成り立っている日本で「船禁止」なんてことになったら、私たちはまともな日常生活も営めません。
だから、船員さんをはじめ船舶会社のみなさんは、事故が起こらないように安全な運行を心がけて船を運用してくださっています。
私たちが何気ない日常を送ることができているのも、船員さんや船舶会社のみなさまのおかげです。
本当に感謝しています。

同じように、「談合など不正の懸念があるから自衛隊の入札制度は禁止しよう」とか「パワハラなど不正の懸念があるから、民間船員を予備自衛官補とすることを禁止しよう」では、守れる平和も守れなくなってしまいます。
だから、「不正が懸念される制度をなくす」のではなく、「不正をなくす」ことで、平和を守り、人々が安心して暮らせる社会を作っていく……私はこれを心から望んでいます。

日本が戦争に巻き込まれるような事態は絶対に防がなくてはなりません。
でも、戦争が起きなければただそれだけで平和だというわけでもありません。
戦争が起きなくても、平和が崩れる事態というのは起こってしまいます。
私は、日本が「ただ戦争が起こらなければそれだけでいい」のではなく、「平和であり続ける」という国であって欲しい、そしてそのためにはどうすればいいのかを考えていきたいと思っています。

さて、どうやったら「入札したい」という会社が、海技資格技能で採用されている予備自衛官の船員を確保できるのか。の続き。

2.元海上自衛官の船員が予備自衛官になる
3.元海上自衛官を船員として新たに雇用し、予備自衛官になる
4.これから海上自衛隊を退職し、退職と同時に予備自衛官に任官する人を船員として雇用する

あ、ここからはさくさく行きます。
たいぶ疲れてきたので。
お仕事もやんなきゃですから。

2.元海上自衛官の船員が予備自衛官になる

自衛隊には、若い「任期制隊員」がいます。
海上自衛隊の場合、1任期目は2年9ヶ月、2任期目以降は2年ごとに「任期満了」を迎え、自衛官を続けるか、退職するかを選びます。
ので、若いうちに任期満了退職し、その後は自衛隊での経験を活かして船舶会社に就職……という人がたくさんいます。
どのくらいの数かは分かりませんが。
「もう海はおなかいっぱい」って方は全然違う業種に就職してると思いますし。

ので、会社に元海上自衛官の船員がいる場合、その方が予備自衛官になれば「海技資格技能の予備自衛官の船員」を確保できます。
あ、これも強要、パワハラ禁止ですよ。
いくら元自衛官だからって、「もう自衛隊はおなかいっぱい」って方もいらっしゃるでしょうから。

あと、該当する海技資格を持っていない場合(海上自衛隊時代は艦艇じゃなくて飛行隊に勤務してた、とか)は、予備自衛官になってから、もしくはなる前とかのどこかの段階で、その資格を取得する必要はあると思います。

3.元海上自衛官を船員として新たに雇用し、予備自衛官になる

2と同じ感じです。
「元海上自衛官です。御社に入社し、海技資格の予備自衛官として貢献したいです」という人を中途採用。
あんまいないかなー。
まあでも、今回のことで「お、それならやってみよう」って人はいると思うんですよね。

あと、結婚や出産で海上自衛隊を退職した人とか。
「子育ても落ち着いてきたし、また働きたい!」って元女性海上自衛官には悪くない話なんじゃないかなー。
現在、予備自衛官をしているママさんにも、「結婚、出産で自衛隊を辞めたけど、予備自衛官で復帰しました!」って人がいっぱいいますから。

4.これから海上自衛隊を退職し、退職と同時に予備自衛官に任官する人を船員として雇用する

いちばんスムーズに「海技資格技能の予備自衛官の船員」を確保できるのはこれじゃないかなーと思います。
「元自衛官で、民間企業に勤務しながら予備自衛官をやっている人」は、「自衛隊を退職するとき、同時に予備自衛官になった」というケースが最も多いので。

上記2では「若い任期制隊員」の退職のお話をしましたが、定年退職する自衛官もいます。
自衛官の定年って早いんですよ。
階級によりますが、早い人は53歳で定年を迎えます。
まだまだ働けます。
ムダに体力のあるおじさまたちがたくさんいます。
いや、「ムダ」ではないですが。

任期満了退職にしろ、定年退職にしろ、こういう「海上自衛隊を退職するのが決まってる人」は毎年たくさんいますので、入札を考えている企業の方はこのケースをぜひ頭に入れておいてください。
(まあ私なんかに言われなくても、該当する企業の方はこのあたりよくご存じだと思いますが)

……ってね、「自衛官の再就職」と「入札」をセットにすると、すぐ「天下りだー」って方がいらっしゃるんですけど。
「天下り」と呼べるほどの待遇であるのならまだしも、なんでもかんでも天下り天下りって……。

もちろん、そこに「不正」が存在するのは、絶対に許されません。
でも、不正ではない再就職は非難されるべきものではないと思います。

どんな職業でも、再就職には前職での経験、資格が活かされることが多いと思います。
再就職する人が「これまでの経験を活かしたい」って思うのは自然ですし、企業も「即戦力が欲しい」と考えるのは当然です。
そして入札には、その専門業種の会社が参加します。

そりゃどうしてもかぶりますよ。
自衛官の再就職先と、入札参加企業は。
業種が限られるんですから。

もちろん、「不正」は絶対に許されませんが。
何度も言いますが。

船舶会社に関わらず、「自衛隊を退職する人、退職した人を雇用したい」という企業の採用ご担当者がいらっしゃいましたら、こちらをご参照ください。

あと、「予備自衛官を雇用している」ことを、「地域社会への貢献」「平和への貢献」としてCSRに活用している企業もありますので、ぜひご検討ください。
(ご参考までに、以前書いたコラム「CSRとしての予備自衛官雇用」もどうぞ)

それからもうひとつ。
「海技資格技能で採用されている予備自衛官」の船員を確保する案としては、
「高校卒業後、大学生なんかのときに一般区分で予備自衛官補に志願して訓練受けて予備自衛官になった人を大学卒業後に船員として雇用し、その人が入社後に海技資格を取得して海技資格技能の予備自衛官として採用される」
ということも可能ですが、まーこれはごくごく少数かなぁ。

でも、こういう「そんなヤツいるの?!」みたいな経歴の人って結構多いんですよね。予備自衛官補とか予備自衛官って。
なんだろうあの特殊な人たちの集まりは。
「お前が言うな」って言われそうですが。

大学生や転職希望の予備自衛官補、予備自衛官のみなさんには、将来的にこういう道もあるかもしれませんね。

あと、それからそれから。
「海技資格を持ち、船員として勤務している海上自衛隊の予備自衛官」って方も、もう既にいると思います。
いますよね?
私はまだお会いしたことないんですが……まあでもフツーに考えていますよね?

こういう方がいらっしゃれば、「海技資格技能で採用されている予備自衛官」の確保は難なくクリアです。


以上です!!

超長文にお付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
お疲れさまでした。

予備自衛官制度がこれからどうなっていくのか、予備自衛官のひとりとして私もしっかりと追っかけていきたいと思います。
日本が平和で、みんなが安心して暮らせる制度ができますよう、ご担当のみなさまがんばってください!
まあ、私に言われなくても充分がんばっておられると思いますが。
失礼しました。

あと、最後に。

「事実上の徴兵」とか「事実上の徴用」とか、「事実上」って言葉を利用して人々の不安をあおるのはもうそろそろ本当に辞めて頂けないでしょうか。

安保法案騒動のときも、よく「事実上の徴兵になる」とか「経済的徴兵ガー」とかいう文言を耳にしましたが、「本物の徴兵」「本物の徴用」がある国、時代のみなさんに大変失礼ですから。

本物の徴兵制度、徴用制度がある国、時代の方々がどんな思いで国防や自分の人生と向き合っておられるか……そのことに思いを馳せたら、「事実上」とか「経済的」とか、どんな言葉を付けてもおいそれと言えるものではないと思います。

選択肢のある制度に「徴兵」「徴用」という言葉を使うのは、飢餓に瀕している子供に「分かる~!私もダイエット中なんだよね☆彡」ってくらいとてもとても失礼で軽率です。

制度に対して危惧があるのなら、それを正しく指摘してください。
刺激的な言葉は人々の感情へ直感的に訴えられる便利なアイテムなのかもしれませんが、礼を失し、また人々の不安をいたずらに駆り立てることが「平和」につながるとはとても思えません。

今一度、よくお考えくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

スポンサーサイト

プロフィール

okadamari

Author:okadamari

>>質問大募集!!







岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

ブログ内検索

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

もくじ