■建国記念“の”日

■建国記念“の”日

2月11日。祝日。
今は「建国記念の日」と呼ばれることが一般的ですが、私が子供の頃は「建国記念日」と言ってて、カレンダーも「建国記念日」と書かれていたように記憶しています。
世間で「“の”を付けよう」となったのがいつ頃なのかは覚えていませんが、小学校1年生のときに、担任の先生からそう指導を受けたことはよく覚えています。

小1の、2月10日。
2月11日前日の、2月10日。
確か、朝の会の「せんせいのおはなし」の時間。

突然、先生が「明日のお休みはなんの日か知ってる~?」とみんなに聞きました。
18人クラス中のかなりの児童が「知ってる~!」「けんこくきねんび~!」と口々に答えました。
おそらくみんな、「けんこくきねんび」の意味は全く知らず、「ぶんかのひ」「きんろうかんしゃのひ」のように、ただ「そういう日」とその休日の名前を認識していたものと思います。

すると先生は「けんこくきねんび~!」の合唱にニヤリとほくそ笑み、してやったりな顔で
「ちがいまぁ~すぅ」
と口を尖らせて言いました。

予想外の先生のリアクションに「??」な子供たち。
おそらく「あれ? けんこくきねんびじゃないの?」よりも「なんだあのムカツク表情は」のニュアンスが「??」の多分を締めていたように思います。

そんな子供たちの「??」をよそに、先生は自信たっぷりに言いました。
「明日は、けんこくきねん“のぉぉ~”ひ、です」

教室に「どっちでもいいじゃん」な空気が流れました。
しかし先生は、そんな空気にはまったくのお構いなしで、おそらくはどこぞの勉強会かなにかで仕入れたであろうお話をしはじめました。

―あのね、日本には国ができた日なんかないんだよ。
昔ね、神様が海を棒でぐるぐるかき回して、ぽちゃーんぽちゃーんってしずくを垂らして、そのしずくで日本ができたとか言ってる人がいるの。
そんなしずくで国ができるわけないよね?
バカだと思わない?
だから、「けんこくきねんび」って言ったらだめなんだよ。
「けんこくきねん“のぉぉ~”ひ」って言わなきゃいけないんだよ。

ポッカーン……なクラス一同。
なにがなんやらさっぱり分かりません。
子供心に「その神様が海をかき回してっつーのは昔話じゃないのかな? そんなこと言ったらかちかち山も花咲かじいさんも全部バカってこと?」的なことを思いましたが、そんなことを理論立ててしゃべれる技術も知識もなく、とりあえず「へ、へぇ~」と思いました。

今思えば、神話のことを言いたかったのでしょうか。
この先生が言うところの「ぐるぐるぽちゃーんぽちゃーん」は。

静まり返った子供たちを前に、さらに先生は続けます。

―分かった?
「けんこくきねんび」じゃなくて「けんこくきねん“のぉぉ~”ひ」って言わなきゃいけないんだよ。
さ、みんなで言おうか。
せーの、けんこくきねん“のぉぉ~”ひ!!!

なにがなんだかさっぱり分からない子供たちでしたが、先生に促され、素直に「けんこくきねん“のぉぉ~”ひ」のシュプレヒコールを上げます。
しかもこの“のぉぉ~”と言うときの先生の顔と言いっぷりのおもしろさが子供たちのツボにハマり、みんな嬉しそうに
「けんこくきねん“のぉぉ~”ひ!」
「けんこくきねん“のぉぉ~ぉぉぉぉおおおおお~~~~~”ひ!!」
と大声で叫んでいます。

いや、マジでおもしろくて。
先生の“のぉぉ~”が。

2月12日以降も、クラス内ではその先生の顔マネと共に「けんこくきねん“のぉぉ~”ひ」と叫ぶのがしばらく流行っていました。
しかし、なぜ“の”を付けなければいけないのかは誰一人理解してなかったと思います。

大人になっても2月11日が来ると思い出す、建国記念“のぉぉ~”日! のお話でした。


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プロフィール

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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