■ほじくりコラム

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■岡田真理と申します。

フリーライターの岡田真理と申します。
ライター業の他に、陸上自衛隊の予備自衛官というものをやっています。
階級は「予備陸士長」です。

今でこそ予備陸士長なんて階級を持ってますが、つい5年前までは、自衛隊なんて、国防なんて何も知らない、何も知らない以前に「知らない」ということに対してすら無自覚なパッパラパーの20代女子でした。
いつものように何の変哲もない日々を送っていた5年前のある日。
そんなパッパラ女が、お酒の勢いで予備自衛官補に志願することになりました。

予備自衛官補とは、陸上自衛隊の予備自衛官になるための訓練生。
大きな災害や有事など、現職の自衛官さんだけでは数が足りなくなるような緊急事態が起こってしまったときには、普段サラリーマンや学生や主婦をやってる予備自衛官が、自衛官に変身して国防の任に就きます。
その予備自衛官になるための訓練を受ける、予備自衛官補。

「自衛隊? なんだそれ食えんのか旨いのか」だった私ですが、予備自衛官補となり、「ジエイタイ」な訓練を受けることになりました。

■訓練初日
いきなり8人のタコ部屋に押し込まれました。猛暑なのにクーラーが切られ、「殺す気か!」と思いました。クーラーすらの光熱費の余裕がない自衛隊の境遇を初めて知りました。
■訓練3日目
「個」ではなく、「組織の一員」としての行動を強いらていることに気づきました。でも、「自由がない=不自由」というワケではないということにも気づきました。
■64式自動小銃
重いです。邪魔です。だけど常に持ち歩かなきゃいけません。つーか重い。
■催涙ガス体験
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い顔が痛い目が痛い鼻が痛い!! なんてヤな武器!!
■射撃
え? 私、実弾撃つの? よっしゃ当ててやろうじゃねえか!!  ……やっぱ怖い。。
■戦闘訓練
土砂降りドロドロだろうが氷の張った水溜りだろうが匍匐前進。全身アザだらけになって銃片手に敵陣へ……。ああ、戦争なんてしたくないなぁ。

そして訓練を受けるうちに、自衛隊を、自衛官という人たちを知っていくようになりました。

あのね、自衛隊ってすごいんだよ。
自衛官ってかっこいんだよ。
マジで超マジで。

自衛隊がどこよりも熱い教育をしていて、それがとても人間的であること、自衛官さんたちは誰よりも愛情を持った温かい人たちであること、そして彼らは想像以上に厳しく自分を律し、でも厳しさを知っているからこそスカーッとしたいい笑顔をすることは、あまり世間には知られていないかもしれません。

予備自衛官補、予備自衛官というモノがこの日本にあることを、そして自衛隊・自衛官のホントの姿を、ひとりでも多くの方に知ってもらえたら……と思い、一冊の本を書きました。

『いざ志願! おひとりさま自衛隊』
岡田真理・著
文藝春秋社・刊

どうぞお手に取っていただけると幸いです。


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■イタリー その1

おととしのクリスマスシーズン。
当時私は京都に住んでいて、御池通をふらふら歩いてたら外人さんに呼び止められた。

「Can you speak English?」

アイキャンノットなので「無理っす」と手のひらを彼に向けてひらひらさせると、「ワタシ、日本語シャベレマス」と返ってきた。
どないやねん。

道でも聞かれんのかと立ち止まったら、彼が歩き続けるので私も歩みを進める。
自然と並んで歩く格好に。

「アナタもワタシもニット帽デスネ~。こうして歩いてるとカップルみたいデスネ~」

なんて答えりゃいいんだ。
まあ、この人も日本で寂しいのかな、クリスマスのイルミネーション満開のこの通りを独りで歩くのは寂しいのかな、と思い「あはは」と上辺の笑みを返す。

「ワタシはイタリアからキマシタ」
「へー、イタリアですか」

どうりでノリがラテン全開。

「ドコマデ行くのデスカ?」
「市役所前です」
「オ~。いいデスネ~」

なにがどういいのか。
市役所前の良さというものがあるのなら是非とも教えて頂きたい。

「市役所前にナニをしに行くのデスカ?」
「待ち合わせ」
「ダレと?」
「彼と」
「オ~。いいデスネ~」

女友達と待ち合わせなのだが、めんどくさいことになったらアレなので嘘をつく。

「カレはドンナ人デスカ?」
「ふつうの人」
「ナニをしてる人?」

つーかなんで尋問受けてんだ。
もうここらで追っ払うべく、「私の彼はおっかないんだぞコラ」的空気を漂わせるために「ラグビー選手」とか「K-1ファイター」とか「漁師」とかいろんな「怖い彼像」を思いめぐらせて咄嗟に出た答えが

「海兵隊」

なんで海兵隊なんだ。
つーかどこに行けば海兵隊さんと出会えるんだ。
まあいいや。

「カイヘイ……タイ……??」

あ、嘘までついて通じてない……。

「海兵隊ってのは……えーと、アーミー」
「オー、アーミー……」

ラテンのノリが一気に下がる。
そして彼は、イタリアのアーミーは乱暴なヤツばかりだ、アーミーは戦争をするから嫌いだ、戦争は良くない、とぼそぼそ語り始めた。
ここで議論しても仕方がないので、私もうんうんと相槌を返す。

会話も盛り下がり、彼は「デハ、ロフトに行きマス。バイバイ」と富小路通を上がって行った。
いや、ロフトは逆方向だろと思ったけど何も言わず見送った。
というか、海兵隊はアーミーじゃなくてマリーンな気がするんだけどどうだろう。


■イタリー その2

そして昨年の秋。
当時も私は京都に住んでいて、御池通をふらふら歩いてたら外人さんに呼び止められた。

「Can you speak English?」

アイキャンノットなので「無理っす」と手のひらを彼に向けてひらひらさせると、「ワタシ、日本語シャベレマス」と返ってきた。
どないやねん。

道でも聞かれんのかと立ち止まったら、彼が歩き続けるので私も歩みを進める。
自然と並んで歩く格好に。
話をきけばイタリア人で……ってなんだこのデジャヴ。
御池はヒマなイタリア人だらけか。
「Can you speak English?」の手口だらけか。
だらけって2人目だけど。

「ドコに行くのデスカ~?」
「家に帰ります……」
「お茶でもドウデスカ~?」
「帰りますんで……」

勝手にべらべらしゃべるのを聞くに、イタリア語教師をやってて、今日は珍しく仕事が早く終わったので街に出てきたらしい。
家にはワインとパソコンしかないらしい。

「カレシはいるのデスカ~?」
「……います」
「カレシはおシゴトは何デスカ?」
「海兵……あ、いや……サラリーマン」
「カレシは何歳デスカ~?」
「……30」
「オ~結構イってマスネ~」

てめえの目の前の女が32だバカ。
結構イってて悪かったな。

「ワタシの家でワインでもドウデスカ~?」
「……行きません」
「ドウシテ嫌ナンデスカ~?」
「……嫌です」
「家でワインを飲みながらパソコンでチャットをシマショウ~」

なんじゃそら。
なんで見ず知らずのイタリア人の家行って、わざわざ更に知らん人とチャットしなきゃなんだ。
つーか手を腰に回すな。

回された手を振りほどくと「カタイですね~」とほざきやがった。
そらガッチガチだよ。おめーが怖ぇんだよ。

その後10分ほど歩きながら「家に来い」「嫌だ」の生産性のない会話が続き、ああもうすぐ私の家だ……どうやって逃げよう……ああさっきの交番に入れば良かった……と思ってたら突然
「アナタは私のキモチが分かってナイ!!」
とキレでどっか行った。

なんでこっちがキレられなきゃなんだ。
初対面のてめえのキモチなんか分かるワケねーだろ。
つーか急にえらいキレるからこっちもうっかり「すいません」って言っちゃったじゃねーか。
なんで私が謝んだ。
あーなんかすげー負けた気分。
ちきしょう。


■イタリー その3

そして今年の夏。
当時はもう東京に住んでいたが、所要あり京都へ。
御池通を歩いてたら、2台のチャリに挟まれた。
なんだなんだと顔を上げると、ニヤニヤした外人さんたち。

「ハーイ! アイムフロムイタリー!」

やっぱりか。

しかしこの2人のイタリア人は日本語がまったくしゃべれないご様子。
1人が英語でロイヤルホテルがどうの、ボートがどうのと言ってるけど、私の英語力がサッパリなのでイマイチ的を射ない。
もう1人に至っては英語もしゃべれないようで、イタリア語らしき謎の言語をしゃべりながらなにやらご陽気に笑っている。

つーかなんであんたらそんなに大声でケラケラ笑えるんだ。
なにが楽しいんだ。
人通りの多い往来でわーわー騒いで周りからジロジロ見られても平気なくらいにラテンのノリはアゲアゲなのか。
私はジロジロ見られて充分に恥ずかしいんだが。
そしてチャリに挟まれたこの状況は多分に恐怖なんだが。

私がちっともラテンでもノリノリでもなく、つーかなんだったら結構ビビってる様子だと分かると、彼らは相変わらずニッコニコしながら「バーイ」と去って行った。
去り際に、自分の乗っている自転車を指さしながら
「このバイシクルはイタリーから持ってきたんだ。クールだろ?」
的なことを言った。

しかしそのバイシクルには京都市内のレンタサイクル屋のものであるマークがきっちりと貼られていた。
なんでそんなウソつくんだ。
意味がわからん。

日本人からのナンパといえば、奇声を上げながら突進されて高瀬川に突き落とされそうになったり、電車の中で明らかに様子のおかしなおっちゃんからいきなり頭をなでなでされたりと、「いや、あんたそれはナンパじゃなくて町の要注意人物の日常的行動だよ」と言われそうなことしかない身なので、誰から声をかけられようと「こんな人間を気に留めてくれてありがとうございます」と地に頭をこすりつける勢いで感謝をすべきなのかもしれませんが、やはり見ず知らずの赤の他人からいきなり話しかけられてしつこく付きまとわれるのはただただ恐怖です。
あげく怒鳴られたりしたらしばらくちょっとしたことでもビクビクしてしまうほどの思いです。

しかしこの3年間で、私はイタリアに行けばちょいと人気者になれるのではないかと夢を見るようになりました。
イタリアに飛ぼうかなぁ。
カプリチョーザみたいなごはんが毎日食べれるんかなぁ。


■韓国の旅~ハングル編

先週、韓国に行ってきました。
目的は、ヨンピョン島砲撃現場の取材。

……でしたが、大寒波の影響でヨンピョン島へ渡る船が連日出航できず、ただの観光旅行となりました。
残念。。。。
ですが、とても楽しかったです。

韓国へ行くのは初めてで、行く前は「日本人って嫌われてるんじゃなかろうか」とか、「怖い目に遭ったらどうしよう」(海外自体が2回目なので)とかいろいろ怯えていましたが、滞在中の4日間で接した韓国の方々はみなさん親切で、陽気で、とても心持ちのいい日々でした。

まあ、寒さだけは「もう二度と来ねえ!!」と思いましたが。
昼間でもマイナス13℃とかですよ。
ビルの水道管が凍ってトイレ使えないとか。
寒いの苦手です。。。。

ヨンピョン島取材はできませんでしたが、大きな収穫がありました。
ハングル文字が読めるようになりました。

日本でも、駅とかバス停とかの表示にハングルが併記されてたりしますが、以前からその表記を見て
「『ロッポンギ』はこう書くのか。あ、なんか『ロ』と『ポ』を書いてるであろうと思われる文字に同じ記号があるなー。これはきっと母音の『オ』なんだろうなー。規則性あって分かりやすそうだなー」
と思ってたりしましたが、今回、せっかくなのでちょいとお勉強してみようかとハングルの反切表(日本語でいうところの50音みたいな表)を見てみると、超規則性溢れる文字。
マジでめちゃめちゃ分かりやすい。

例えばですね、「명」という文字は、左上の「口」みたいな記号が「m」の発音で、右上の縦棒の左に横棒が二本ある記号の発音が「yo」の発音。
んで、下の「○」が「m」。
なので、「명」は「ミョン」。
「동」という文字は、上の「コ」を逆にしたようなのが「t、d」の発音で、真ん中のなべぶたみたいなのが「o」の発音。
で、下の「○」は上に書いたように「m」。
で、「명동」は「ミョンドン」となります。

こんな風に、記号の発音が分かればあらすてき。ハングルがすらすら読めちゃいます。

韓国行き前日、急に思い立って反切表をネットでプリントアウトしたんですが、それを持ってっただけですべてのハングルが読めました。
みなさん、もし韓国に行かれるときはぜひ反切表を。

まあ、ソウルとかミョンドンとかの都会はカタコト英語で通じるし、日本語ベラベラの人も多いんでハングル読めなくても別に困りませんが。
でもちょいと都心から離れるとハングルオンリーなので、読めるとかなり便利です。

まあ、読めても意味は全然分からないんですけど。

んでも地名は読めりゃあそれでOKだし、ちょいと定食屋さんに入れば「ラーメン」「サムゲタン」「キムチチゲ」なんてハングルも読めてさらさらとオーダーできちゃいます。
(発音悪くて「?」な顔は何度もされましたが。。)

「あの看板はなんて書いてるんだろう?……『アン、ナエ』か……アンナエ……アンナエ……アンナイ……あ、『案内』だ!」と案内カウンターに辿りつけたり。
言葉自体も日本語と近いのがたくさんあるから読めりゃあそんだけで分かることも。

ただ、「ヨケク」と読む文字が「旅客」と判明したときは、同じ語源だと分かりつつも素直に納得できませんでした。
「ヨケク……ヨケク……ヨカク……リョカク……。バンザイできねーよ!!」の心境でした。

ところで、「소」は「ソ」と読みます。
上の「人」みたいなのが「s」の発音で、下のなべぶたみたいなのが「o」の発音。
この「소」は「牛」という意味です。
(餃子のお店に豚餃子と牛餃子があり、その牛餃子の表記で判明)

「そうかー。牛は韓国語で『ソ』なんだな。よし、ひとつ覚えたぞ」と思っていたら、ヨンピョン島の地図にも同じ「소」の文字が。

ヨンピョン島には、大ヨンピョン島と小ヨンピョン島とがあります。
(今回の砲撃があったのは、北朝鮮に近い大ヨンピョン島)
その小ヨンピョン島の表記を見ると、「“소”ヨンピョン島」と書いてありました。

소ヨンピョン島??
牛ヨンピョン島??

なんじゃこりゃ? と思って、ミョンドンで仲良くなった日本語ベラベラのショップ店員さんにそのことを聞いてみると
「“소”は『牛』という意味もあるし、『小』という意味もあります」
とのこと。

あ、なるほど。
「소ヨンピョン島」で「小ヨンピョン島」か。

要は同音異義語なんですね。
「同じ“소”で『牛』と『小』をどうやって区別するの?」とおねえさんに聞くと、「文脈で区別しますよ」とのこと。
まあ日本語でも音だけで「はし」と聞くと「橋」だか「箸」だか分かんないし、そんなもんかな。
渡るべからずのトンチ回答は「端」で。

んでも表記で区別できないのはちょい不便だなー。
「소丼」って書いてあったら、牛丼なのか、ミニサイズの丼なのか迷いそう。
「牛肉丼」、「小サイズ丼」とか書くんかな。

そう考えると、音だけでは「しょう」だけど、書けば「小」なのか「賞」なのか「将」なのか「商」なのか区別がつく漢字は便利だなー。
韓国も漢字復活させればもっと便利になるのに。
余計なお世話か。

たった4日間ですが、ハングルをいろいろ勉強することができました。
ので、今回の韓国4日間は「せっかく行ったのに取材できなかったちきしょー!!」ではなく、「ああ、いい語学留学だった」と思うことにしています。


プロフィール

okadamari

Author:okadamari

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岡田真理・著
(文藝春秋社)


よくわかる自衛隊 (楽しい調べ学習シリーズ)



志方俊之・監修
岡田真理・文
(PHP研究所)



―岡田真理―
フリーライター。昭和52年生まれ、福岡県香春町出身。同志社大学工学部中退。平成17年、陸上自衛隊予備自衛官補(一般)に志願。50日間の教育訓練を経て、平成19年、予備自衛官に任官。現在も任用継続中。全国の陸海空自衛隊各部隊を取材し、「女子高生にも分かる国防」をモットーに執筆活動を行う。

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